ご自宅のリフォームを考えている方も多いことと思います。
今回は、自宅の所有者以外の方がリフォーム代金を負担するケース。
具体的には、ご主人名義の自宅のリフォーム(1,000万円)に際し、奥様が700万円を負担するケース。
この場合、
- リフォームは本当に必要か
- 奥様からご主人への贈与税を回避する
この2点を取り上げます。
リフォームは本当に必要か
リフォーム資金は、その後の生活や老後資金を圧迫しないかという視点で、見直しませんか?
標準的な家族構成で考えてみます。
夫婦と子供さん2人で、子供さんはともに結婚して独立。
ご主人のご自宅には、夫婦2人のみが居住。
子供さんは、それぞれお孫さんと居住。
ここで、ご主人のご自宅のリフォームの必要性を再考します?
- 将来的に子供さんが実家に戻るか?
- ご夫婦の念願のリフォームか?
など、リフォームの必要性も十分に考慮しましょう。
もしも、子供さんが実家に住むことが想定しずらい状況だったり、ご夫婦に潤沢な資金が無かったり。
すると、設例の「虎の子の700万円」は、
- ご夫婦の老後資金
- 将来の子供さんの支援
- 教育費などお孫さんの支援
- 将来のホーム入居の資金
などのために温存するという選択肢が、重要になることがあります。
確かにご自宅は、ステータスの象徴です。
憧れや夢でもあります。
しかし、子供さんが独立してからは、極端にその必要性が失われることがあるのも事実です。
余計なお世話かもしれませんが、再検討されることを提案します。
贈与税を回避する方法
方法は次の2つ。
- 自宅の登記を共有にする
- 贈与税の配偶者控除を受ける
設例;
⑴ 自宅の固定資産税評価額
:400万円(リフォーム前)
⑵ リフォーム代金1,000万円
:夫300万円、妻700万円
※妻の700万円は、過去の妻の収入や妻の親からの贈与や相続によるもので、妻の固有の資金だったと仮定。つまり、夫の収入で貯金したいわゆる「名義預金」ではなかったケースを想定。
設例の場合、夫名義の登記を変更しなければ、妻から夫へ700万円の贈与になります。
贈与税は、112万円です。
自宅の登記を共有にする
設例のケースでは、自宅の登記を夫1/2、妻1/2とすれば、贈与税を回避できます。
(計算)
リフォーム後の自宅の時価は、固定資産税評価額400万円+リフォーム代金1,000万円の合計1,400万円。
夫の負担は、400万円+300万円=700万円。
妻の負担は、700万円。
したがって、自宅の1/2を夫から妻へ登記すれば、贈与ではなくなります。
(注)登記費用や不動産取得税が必要です。
贈与税の配偶者控除を受ける
おしどり贈与とも呼ばれる、贈与税の「配偶者控除」。
これを受けると、配偶者控除2,000万円⊕基礎控除110万円の合計、2,110万円まで贈与税がかかりません。
設例では、妻から夫への700万円の資金提供ですから、控除内に収まり贈与税は無し。
(配偶者控除の条件)
- 婚姻期間が20年以上の夫婦間の贈与
- 受贈者の居住用家屋又はその購入資金の贈与
- 翌年3月15日までに居住、その後も居住
- 贈与税の申告で控除を受けること
- 自宅の取得が伴うこと
設例のようにリフォームのケースでは、建物の増築を伴うことが必須です。
単なる改築では、配偶者控除を受けられません。
【取り扱い通達】
相続税法基本通達21の6ー4
ここでは、居住用不動産の「取得」には、家屋の増築も含まれることで取り扱えます。
(注)登記費用や不動産取得税が必要です。
【合わせて読みたいブログ】
相続税の節税対策で贈与税の配偶者控除を活用するブログの目次を作成
【出展~国税庁のホームページ】
No.4452 夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除
まとめ
このブログでは、ご自宅のリフォームを取り上げてみました。
つい先日いただいた相談では、共有登記や配偶者控除を提案しました。
ご相談者は、改築に強い思いがあり、増築もされるとのことでした。
事例ごとに、事情や状況は様々です。
このブログが、少しでも参考になれば幸いです。
なお、お困りのことがありましたら、気軽に問い合わせてください。
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