設例に基づいて、アパート(建物)の減価償却費の計算方法を説明します。
アパートの家賃収入は不動産所得といい、所得税と住民税の対象になります。
不動産所得の計算は、次の算式で計算します。
収入金額ー必要経費=不動産所得
今回取り上げる減価償却費は、必要経費です。
減価償却費の具体的な計算
令和5年分の不動産所得(所得税)の計算における減価償却費を計算してみます。
それまでの自宅を令和4年8月にリフォーム、同年12月に父から長男へ贈与。
令和5年10月から、長男が建物を賃貸するケース。
令和5年分の長男の減価償却費(必要経費)は、609,499円です。
【設例】
- 平成10年7月、父が自宅を5,000万円で新築
- 建物は木造
- 建物には、父母が住んでいた
- 令和4年8月、建物を300万円でリフォーム
- 令和4年12月、自宅を父から長男に贈与
- 令和5年10月から、建物を賃貸
【計算内容】
ステップ1(非業務用期間)
⑴ 贈与時点、令和4年12までの減価償却費を計算します。
①建物本体の減価償却費は、3,348万円。
5,000万円×0.9×0.031×24=3,348万円
原価償却の残り未償却残高は、1,652万円。
5,000万円ー3,348万円=1,652万円
※耐用年数は、木造・非業務用・住宅用の建物で33年、償却率は0.031。
※経過年数は24年。
平成10年7月から令和4年12月まで24年5か月、6か月未満端数切捨て。
②リフォーム(資本的支出)の減価償却費は、無し。
償却無し。(6か月未満のため切り捨て)
⑵ 建物の賃貸直前までの減価償却費の計算。
①建物本体の減価償却費は、1,395,000円。
5,000万円×0.9×0.031×1=1,395,000円
原価償却の残りは、15,125,000円。
1,652万円ー1,395,000円=15,125,000円
※贈与は新たな取得になります。
※平成19年4月以降の取得でも、非業務用なので旧定額法で償却。
②リフォームの減価償却費は、83,700円。
300万円×0.9×0.031×1年=83,700円。
原価償却の残りは、2,916,300円。
300万円ー83,700円=2,916,300円。
ステップ2(業務用期間)
⑶ 建物の賃貸期間の減価償却費の計算。
以下の①と②の合計609,499円を、減価償却費として必要経費に算入します。
574,999円+34,500円=609,499円。
①建物本体の減価償却費は、574,999円。
5,000万円×0.046×3/12=574,999円
原価償却の残りは、14,550,001円。
15,125,000円ー574,999円=14,550,001円
※令和4年12月の取得、業務用なので定額法で償却。
耐用年数22年、償却率0.046、経過年数は月割り端数切上げ。
②リフォームの減価償却費は、34,500円。
300万円×0.046×3/12=34,500円。
原価償却の残りは、2,881,800円。
2,916,300円ー34,500円円=2,881,800円。
まとめ
業務用資産の減価償却費は、必要経費になります。
減価償却費の計算は、平成19年4月から改正されています。
また、相続、遺贈又は贈与による取得は新たな取得とされるなど、かなり難解なものとなっています。
このブログが、少しでも参考になれば幸いです。
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