相続税の節税対策で、一躍脚光を浴びたタワーマンション。
余りに多額の節税が注目され、同時に国税当局の対応も?
平成27年からの相続税の増税もあり、マイホームがあるだけで相続税がかかる?とマスコミも特集で騒いでいました。
そんな時期に前後して注目されたのが、億単位の節税対策でした。
文字通り、億単位のタワーマンションを購入する節税対策ですから、庶民の手の届かないもので、資産家だけの話でもありました。
あれから5~6年もたった今、タワーマンション節税を勧める話題は聞こえなくなりました。
国税当局の制度改正、法律や通達改正はどうなったのか?
節税を巡る現状を取り上げます。
タワーマンション節税とは?
通称タワマンとは、超高層マンションのこと。
値段は億ションで、高いものだと10億円以上もしたかも。
このタワマンでは、低層よりも上の階の方が値段が高くなっていました。
単に高いところが好きということではなくて、眺望が良い・眺望権が理由でした。
このマンションを購入すると、どうして相続税を節税できるのか?
そのからくりを単純化して説明します。
![](https://kakuyasu-sozoku.com/wp-content/uploads/2022/02/23294478_s.jpg)
(事例)
8億円のタワマンを銀行ローンで購入します。
1年後に、購入者が死亡したとします。
その時の相続税は次のようになります。
相続人は奥様と子供さん2人で、合計3人。
![](https://kakuyasu-sozoku.com/wp-content/uploads/2021/11/2021-12-22_150502.jpg)
(相続財産・仮)
- タワマン:2億円
- 銀行ローン残高:7億
- 預貯金:1億円
- 自宅:1億円
- 上場株式:2億円
相続財産は、プラスが6億円と債務が7億円。
合計は▲1億円なので相続税はかかりません。
では、タワマンを購入していなかったらどうでしょう?
相続財産は、4億円。
相続税は、約4,600万円くらい見込まれます。
つまり、銀行ローンでタワマンを購入したことで、相続税を4,600万円を払わなくてもよくなったということです。
(注)
計算はかなり簡略化しています。
奥様の控除(配偶者の税額軽減)を最大で適用しています。
それでも、4,600万円の相続税をゼロにできるとは!
なお、銀行ローンは、タワマンを相続後に売却すれば完済できます。
節税封じ
この節税対策を見逃すはずはありません。
何しろ、支払うべき多額の相続税が無税だなんて不公平。
タワマンが買える資産家だけが得するのはおかしい。
この節税対策は、マンションなどを金額換算する評価が、時価よりも低いことを狙っていました。
※評価は、財産評価基本通達によります。
マンションの建物部分は固定資産税評価額、土地・敷地部分は路線価で計算します。
さらに、建物部分の計算で使用する固定資産税評価額は、1階と高層階で同額でした。
※面積が同じ場合。
事例は単純化してますが、タワマンの購入金額と評価額には、数億円の開きがあることも珍しくなかったと考えられます。
節税封じは主に2つ。
- 固定資産税評価額の改正
- 評価通達の6項適用
固定資産税評価額の改正
平成29年度の税制改正で、マンションの階ごとの評価額に格差を設けることになりました。
具体的には、40階の評価額は1階の10%増。
※計算式;100+10/39×(40-1)
これにより、上の階に行くほど評価額が高くなり、固定資産税と都市計画税が高くなる。
もちろん、固定資産税評価額が高くなると、それによる相続税も高くなります。
もっとも、80階の場合でも20%であり、相続後すぐに売却するのであれば、固定資産税などは気にならないレベルと言えそうです。
(注)この計算の対象は、高さが60mを超えるもので、平成29年1月2日以後に新築されたものです。
評価通達の6項適用
マンションや土地建物は、もともと財産評価通達で計算することになっていました。
その6項には、次のような規定がありました。
この通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の価額は、国税庁長官の指示を受けて評価する。
【出典】
現実にも、この6項を適用して、行き過ぎた節税を否認している事例があります。
タワーマンションを無理に・節税だけの目的で購入するのは、国税当局からの否認リスクが伴います。
相続税等のプロの税理士へ
相続税や贈与税のことはその道のプロ、詳しい税理士に相談しましょう。
相続税や贈与税はかなり特殊な税金です。
加えて、本当に詳しい税理士、いわゆるプロの税理士が実は少ないのが実際のところです。
税理士は、全国に約8万人もいます。
しかし、相続税に詳しい税理士はほんの一握りです。
相続税に詳しい税理士は、普通は贈与税にも詳しいです。
相続税の節税対策では、通常より慎重な検討・分析が必要です。
予期せぬ税金がかからないように、相続税等のプロの税理士にご相談ください。
相続税のプロの税理士に関するブログもあります、参考になると嬉しいです。
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まとめ
一時期大注目のタワマン節税。
最近ではほとんど聞かなくなったタワマンというフレーズですが、100%否認されるとまではいえないようです。
しかし、否認されると、加算税や延滞税などの余分な税金も支払うことになります。
また、国税当局の税務調査を受けることになりますが、その精神的な負担・苦痛は想像以上です。
節税自体は合法ですから、むしろ積極的に取り組むべきでしょう。
このブログでも、節税対策を紹介しています。
その上で、改めて強調しておきたいことは、ほどほどが肝腎ということです。
このブログがきっかけで、節税できることを祈念いたします。
なお、お困りのことがありましたら、お気軽に問い合わせてください。
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