最近、私に寄せられた相談では、住まいの買い替えが3件ほどありました。
問 「住んでいる自宅を売却して3,000万円控除受けるのと、新たに銀行ローンで住宅を取得した場合のローン控除は、どちらも使えるのか?」
答 「2つの控除は選択になります。」
最近の不動産の値上がり、加えて、銀行ローンの利率の上昇が見込まれること。
それらの背景や理由は色々あるものと思われますが、自宅の買い替えを検討している方が増える傾向にあるようです。
買い替えで重要なポイントの1つに、”税金”があります。
今まで住んでいる自宅の売却に対する税金がどうなるのか。
住んでいる自宅なら3,000万円の控除が使える?
さらに、新たに取得する住宅で銀行ローンを利用するなら、ローン控除の対象になるか?
今回は、これらの控除の併用について取り上げてみます。
別物件なら6年間重複できません
現在の自宅を売って、新たに住まいを取得する場合。
つまり、現在の自宅と新たに取得する住まいが別の住宅・物件なら、6年間は3,000万円控除とローン控除を重複して適用できません。
したがって、どちらが有利なのか、お得なのかを計算することが重要になります。
3つの事例で、具体的に説明します。
- 令和6年中に買い替えるケース
- 令和3年に売って、令和6年に住宅取得
- 令和6年に取得し居住した住宅Bを令和8年に売却

【併せて読みたいブログ】
目次・譲渡所得【居住用の特例】に関するブログを検索、注意点や条件
①令和6年中に買い替えるケース
令和6年に、それまで住んでいた自宅Aを売却して、新たにローンを組んで住宅Bを取得するケース。
自宅Aの売却では、3,000万円控除が考えられます。
そして、住宅Bのローン控除も受けられそう。
※具体的な比較・検討の前に、どちらの控除にも条件があり、そこを再確認します。
控除・特例の条件を満たしていないと、比較しても無意味になります。
★自宅Aの3,000万円控除の条件
- 所有者が住んでいる
- 仮住まいや一時的な目的の居住でない
- 住まい専用である
- 住まなくなってから3年目の年末までの売却
- 建物を取壊すケースは、取壊しから1年以内の売却かつ、住まなくなってから3年年末までの売却で、跡地を貸してない
- 買主が他人である
- 3年内に居住用の特例を受けていない
- 翌年確定申告する
★譲渡所得の計算式と税率
収入(売却金額)-原価(取得費)ー経費(譲渡費用)ー3,000万円控除=所得金額
所得金額に対する税金は、所得税・復興税と住民税。
①長期の場合は20.315%
②短期はその倍の39.63%
★住宅B(新築)のローン控除の条件
- 新築等の日から6か月以内に居住
- その年の12月31日まで引き続き居住
- 床面積が50㎡以上、1/2以上が専ら自己の居住用
- 10年以上のローンがある
- 前々年から3年後までの6年間に譲渡の特例を受けない
- 住宅の取得が生計一の親族などからでない
- 贈与による取得でない
- 控除を受ける年の合計所得金額が2,000万円以下
- ローンの年末残高の0.7%
【出典】~国税庁ホームページ
No.1211-1 住宅の新築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)
★令和6年の取得・控除額の限度と控除期間
- 長期優良住宅、低炭素住宅~4,500万円、13年間
- ZEH水準省エネ住宅~3,500万円、13年間
- 省エネ基準適合住宅~3,000万円、13年間
- 一般住宅~控除無し、10年間
※令和6年税制改正で、①~③の限度額が子育て特例で増額がされることになりました。
具体的には、次の場合に500万円~1,000万円限度額が増額されます。
- 住宅を取得した人が40歳未満
- 40歳未満の配偶者あり
- 19歳未満の扶養親族あり
※令和6年取得で、一般住宅のケース
通常はローン控除がありません。
しかし、次のイ、ロに限り例外的に、限度額2,000万円まで、10年間、0.7%のローン控除が認められます。
イ 令和5年末までに建築確認をうけたもの
ロ 令和6年6月末までに建築されたもの
以上の条件をクリアしている場合には、重複できない控除・特例について、いずれを受けるか比較検討することになります。
◎ 3,000万円控除を受けることによる減税金額
◎ ローン控除の13年間又は10年間の減税額の総額
②令和3年に売って、令和6年に住宅取得
令和3年に自宅Aを売却して3,000万円控除を受け、その後、令和6年に取得した住宅Bのローン控除は、重複適用できます。
これは、住宅Bのローン控除の条件が、前々年~3年後までの重複ではないからです。
令和6年の前々年、つまり、令和4年と5年の重複は除外されますが、3年目には併用できることになります。
したがって、どちらが有利かの判定は不要です。
③令和6年に取得し居住した住宅Bを令和8年に売却
令和6年に取得してローン控除を受けた住宅Bを、令和8年に売却したケース。
この場合、重複適用ができます。
重複が除外されるのは、3,000万円控除を受ける住宅とローン控除を受ける住宅が別物件のケースです。
なお、当たり前ですが、令和8年分のローン控除は、年末に住宅Bに居住していなければその適用はありません。
まとめ
このブログでは、自宅を売却した場合の3,000万円控除と、新たに取得した住宅のローン控除の重複適用について説明しました。
少しでも、ご参考になれば幸いです。
なお、一読でご理解いただけないと思われ、説明が下手で申し訳ございません。
お気付きの点などございましたら、お問い合わせ願います。
★お問い合わせはこちらからお願いします。