医療費控除は、税務相談の中でも質問の多い項目です。
病院の外来や入院で支払った医療費が対象になる。
でもその先のことはよく分からない、という方が多いようです。
そこで、今回は医療費控除を取り上げます。
参考になると嬉しいです。
病院だけではない
医療費の対象は、次のとおりかなり広範囲です。
- 病院など(医師による診療・治療の対価)
- 歯科医院(歯科医師による診療または治療の対価)
- 市販のかぜ薬などの医薬品
- 特別養護老人ホームなどでの看護、医療サービスの対価
- 公共交通機関の通院費など
- あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師による施術の対価
- 助産師による分べんの介助の対価 など
【出典~国税庁のホームページ】
タックスアンサーNo.1122 医療費控除の対象となる医療費
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家族の医療費をまとめて
1月から12月までに、支払った金額の合計で計算します。
その際、家族の分をまとめても大丈夫です。
この場合の家族とは、同居している配偶者、子供、父母や祖父母で、所得の多少は問いません。。
この後説明しますが、医療費控除には足切り計算があるため、金額がまとまった方が有利になります。
また、生命保険などからの補てん金がある場合には、差引きして自己負担額の計算になります。
なお、医療費控除は200万円が限度です。
さらに、未払の医療費は含めれません。
足切り計算とは?
医療費控除には、よく言われる10万円(※)の足切りがあります。
これは、1年間に支払った医療費の合計が、10万円を超える場合に、その超える金額が医療費控除の対象になります。
※足切り計算は、一律10万円ではありません。
正しくは、総所得金額等の5%です。
総所得金額等が200万円以上の方は、その5%で10万円の足切りになります。
しかし、例えば、100万円だった場合、5%は5万円です。
すると、5万円を超える金額の医療費控除が受けられます。
【出典~国税庁のホームページ】
タックスアンサーNo.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)
医療費から差引く補てん金とは?
医療費控除の計算では、次のような補てん金を差引いて、自己負担額の計算をします。
- 生命保険などの入院給付金や手術給付金
- 健康保険などの高額療養費
- 同様に家族療養費
- 同様に出産育児一時金 など
(注1) 似たようなものに、「出産手当金」があります。
これは、医療費の補てん目的ではなくて、休業中の給与の補てんが目的なので、補てん金ではありません。
(注2) 補てん金は、給付の目的となった医療費の金額を限度とします。
したがって、引ききれない金額を、他の医療費から差引きません。
還付されるのは所得税
確定申告で医療費控除を受けた場合、納め過ぎの税金(所得税)が戻ってきます。
(例~給与所得の会社員)
通常は、12月の年末調整で、毎月天引きされた所得税が清算されます。
しかし、医療費控除は年末調整の対象外です。
このため、翌年1月からの確定申告で医療費控除を受けます。
その結果、納め過ぎの税金が戻ってきますが、これは、所得税の戻りです。
つまり、所得税を納めていない場合、又は、所得税が課税にならないケースでは、医療費控除を申告しても戻ってくるものがありません。
(高額療養費の還付)
似たような制度として、健康保険などの高額療養費の還付があります。
これは、支払った医療費の領収書を持参して窓口で手続きします。
そして、還付されるのは、医療費の一部です。
住民税にも医療費控除
住民税の計算にも、医療費控除があります。
住民税は、前年の収入に対して賦課される税金です。
このため、医療費控除を受けても戻ることにはなりません。
しかし、その年の住民税が、医療費控除を受けることで安くなります。
なお、所得税の確定申告で医療費控除を受けていれば、その申告内容が住民税の計算に反映されます。
医療費控除で所得税の戻りが少ない
確定申告で医療費控除を受けても、戻ってくる所得税は思いのほか少なくて、ビックリすることがあります。
例えば、サラリーマンの方で年収が300万円だったとします。
税金の計算では、給与所得控除、社会保険料控除、生命保険料控除、基礎控除などがあります。
この例では、給与所得は202万円です。
そして、課税対象額を、仮に、150万円とした場合、所得税の税率は5%です。
(所得税の還付)
仮に、医療費が15万円かかったとすると、医療費控除は5万円になります。
15万円ー10万円(足切り)=5万円。
還付される所得税は、2,500円となります。
5万円×5%=2,500円。
所得税は、適用されている税率(この例では5%)での計算になるため、予想に反して少額だと思われることでしょう。
しかし、住民税にも反映されますから、住民税が減額になります。
住民税の所得割の税率は10%なので、住民税の減額は5,000円になります。
もっとも、住民税は還付される仕組みではありません。
それでも、給料から天引き(特別徴収といいます)される住民税が安くなります。
所得税の適用税率は人により異なるため、計算してみないと分からないですが、医療費控除を受ける確定申告が、お勧めな場合が多いといえます。
医療費控除はプロの税理士へ
医療費控除のことは、詳しい税理士に相談しましょう。
紹介(引用)した国税庁のホームページには、医療費控除の詳しい情報があります。
それでも、制度としては少し複雑で、分かりづらいところがあると考えられます。
このため、税理士紹介サイトの無料相談のご利用がお勧めです。
例えば、税理士ドットコム。
公式サイトは、
まとめ
このブログでは、医療費控除を取り上げました。
ご主人の参考になると嬉しいです。
なお、お困りのことがありましたら、お気軽に問い合わせてください。
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