譲渡所得の特例を説明します。
よくあるケースで道路の拡幅。
※道路以外の収用もあります。
ご自宅の前の道路を広げるために、自宅の土地が買い取られることがあります。
道路が国道なら地方整備局、北海道は開発局の職員が買収に来ます。
県道なら県の建設局の職員、市町村道なら役場の職員が、それぞれやってきます。
「道路の幅を広げる工事を行いますので、協力してください。」
「ご主人の土地を売ってください。」
土地を売ったら値上がり利益に税金がかかりますが、公共事業なら特例があります。
今回は、この特例を取り上げていきます。
収用代替という特例
簡単に言うと、土地を収用され、受け取った補償金で代わりの土地を買います。
例えば、
土地が収用されて3,000万円の補償金を受け取ったケース。
そして、代わりの土地を3,000万円で買入れると、使い切っているため課税されません。
5,000万円控除との違い
以前のブログで、収用の5,000万円の特別控除を取り上げました。
この特別控除と、今回の収用代替の違いとは?
【合わせて読みたいブログ】
5,000万円特別控除の特例を説明、収用交換等の場合・注意点まで
5,000万円の特別控除では、次の3つの条件がありました。
- 申し出後6か月以内に買い取られること
- 最初に買取りの申し出を受けた人が譲渡
- 2年以上に分けた買取りは最初の年だけ
しかし、収用代替の特例では、これらの条件がありません。
また、所得税の計算では、各種の所得制限があります。
例えば、収用の5,000万円の特別控除で課税対象が無いとしても、収入があったことになります。これは、専門用語で「合計所得金額」といいます。
合計所得金額は、特別控除の前で計算することになります。
そこで、5,000万円の合計所得金額があるとすると、次のような影響があります。
- 基礎控除が受けられない
- 配偶者控除が受けられない
- 扶養控除の対象者になれない
- 住宅ローン控除が受けられない など
収用代替の特例で、例えば、使い切っていれば、合計所得金額に加算されませんから、上記のような控除が受けられます。
代替資産の条件
買い入れ期限があります。
原則は、収用から2年以内となっています。
また、収用された資産と代替資産は原則、同種の資産であること。
これを個別法と呼んでいます。
しかし、これには例外があります。
⑴1組法
- 居住の用
- 店舗又は事務所の用
- 工場
- 倉庫 など
例えば、居住用の土地建物の収用で、以前から持っていた土地に建物を建設して居住する。
このように、1組の資産が収用され、代替資産は組になっていなくても、居住用という効用が一緒ならOK。
⑵事業継続法
これは文字どおり、事業用の資産が収用されたケースで、事業用の土地や減価償却資産を代替とするものです。
取得金額・取得時期の引継ぎ
代替資産は、収用された資産の取得金額と取得時期を引き継ぎます。
例えば、平成20年に2,000万円で買い入れた宅地が、令和5年に5,000万円で収用され、新たに5,000万円の宅地を取得したケース。
新たに取得した宅地は、平成20年に2,000万円で取得したことになります。
代替資産が建物などの減価償却資産のケースでは、引き継いだ金額に基づいて減価償却することになります。なお、割増償却や特別償却も対象外になります。
確定申告は必須
収用代替の特例は、確定申告が条件です。
申告時に代替え資産の買い入れがまだであれば、見積金額で申告して、後日買い入れ後に清算します。
※5,000万円の特別控除は、必ず申告ではありませんでした。
譲渡所得のプロの税理士へ
収用など譲渡所得のことは、その道のプロ・詳しい税理士に相談しましょう。
譲渡所得は特別の計算があり、加えて、本当に詳しい税理士、いわゆるプロの税理士が少ないのが実態です。
税理士は、全国に約8万人もいます。
しかし、譲渡所得に詳しい税理士はほんの一握りです。
予期せぬ税金がかからないように、プロの税理士にご相談ください。
このブログで取り上げた収用代替の特例は、適用できない場合の税額が多額になることが多いので注意が必要です。
したがって、プロの税理士に相談したり依頼することは、必須といえます。
そんな税理士の探し方は、紹介サイトがお勧めです。
サイトの利用はもちろん無料です。
一押しは税理士ドットコムです。
公式サイトは、
まとめ
このブログでは、収用代替の特例を取り上げました。
最後までご覧いただきありがとうございました。
少しでもお役に立てれば幸いです。
なお、お困りのことがありましたら、気軽に問い合わせてください。
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