最大1,500万円までの贈与が非課税になります。
ただし、学習塾の費用など学校等以外に支払う金銭は、500万円が限度です。
この特例を受けるとそれだけ相続税が節税になります。
このブログでは、相続税の節税対策を取り上げています。
今回は、画期的な特例を紹介します。
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教育資金の一括贈与で非課税
この制度は、贈与税の特例です。
教育資金、例えば、入学金や授業料などは、必要な都度贈与しても非課税です。
しかし、毎月や毎年の贈与は煩雑です。
そこで、将来にわたる必要額を一括贈与したくなりますが、贈与税がかかります。
この特例は、そんな一括贈与を非課税にするという画期的な制度です。
例えば、30歳未満のお孫さんに教育資金を一括贈与。
これで、相続財産を減らせます。
1人につき、1,500万円まで非課税ですから、かなりの節税になります。
※措置法70条の2の2。
平成25年4月からの新しい制度で、平成27年と令和元年に改正がありました。
現在の制度は、令和5年3月末までです。
※令和3年度の税制改正で2年間延長されました。
特例の概要
30歳未満の子供さんやお孫さんが、教育資金に充てるため、金融機関等との一定の契約に基づき、祖父母などから信託受益権などを取得した場合。
1,500万円まで贈与が非課税となります。
特例の創設の趣旨
高齢者世代の保有する家計資産を、若年世代に移転させる経済活性化策の一環。
子育て世帯の教育資金を確保することにより消費を拡大させ、経済活性化を図ることも目的として、平成25年度改正で創設されたものです。
※財務省「令和元年度 税制改正の解説」から抜粋。
もらう人(受贈者)
30歳未満の子供さん、お孫さんなど直系卑属。
(注)令和元年度の制度改正
平成31年4月1日以後の贈与から、もらう人には所得要件ができました。
もらう年の前年分の合計所得金額が、1,000万円以下であること。

あげる人(贈与者)
もらう人の両親、祖父母などの直系尊属。
もらい方
もらい方は、次の3通りがあります。
- 信託受益権を取得した場合
- 取得した金銭を銀行等に預入した場合
- 取得した金銭等で証券会社等で有価証券を購入した場合
※2と3の場合は、贈与契約書を作成する必要があります。
限度額
もらう人ごとに、1,500万円まで贈与が非課税になります。
ただし、学習塾の費用など学校等以外に支払う金銭は、500万円が限度です。
使いみち・使途
教育資金に限られます。
具体的には、次の①と②。
①学校等に直接支払う金銭
入学金、授業料、入園料や学用品の購入など。
※学校等とは、幼稚園、小・中学校、高校、大学(院)、専修学校、各種学校や保育所など。
②学校等以外に直接支払う金銭
学習塾の費用や通学定期券代(交通費)など。
※学校等以外に支払う金銭は、500万円が限度です。
(注)制度改正~令和元年7月1日以後。
もらった人が23歳以上となった場合、学校教育・一定の教育訓練に使途が限定されます。
手続き
銀行等の支店・営業所を経由して、教育資金非課税申告書を税務署に提出します。
贈与税の課税
もらう人が30歳に達した時点で残金があれば、その年の贈与として贈与税がかかります。
このため、教育資金として必要な金額を見積もり贈与することが重要です。
※令和元年度の制度改正
ただし、もらう人が30歳に達した場合で、次の場合には非課税が継続されます。
- 学校等に在学している場合
- 教育訓練を受けている場合
なお、
- 令和元年7月1日以後に、上記1,2に該当しなくなった年の年末
- もらった人が40歳に達した日
のいずれか早い日に残額があれば、贈与税の対象になります。
相続税の課税
贈与者の死亡前3年以内に行われた贈与について、一定の場合を除いて、一定の残高が相続財産に加算されます。
これは、令和元年度の制度改正で、平成31年4月1日以後贈与から適用。
※相続財産に加算されない一定の場合は、
もらった人が、贈与者の死亡日において、
- 23歳未満である場合
- 学校等に在学している場合
- 教育訓練を受けている場合
(注)改正以前の贈与の場合(平成25年4月1日以後の贈与から適用)
もらう人が30歳になる前に贈与者が死亡した場合は、税金はかかりません。
ただし、もらう人が30歳の時に残金があった場合。
その後3年以内に贈与者が死亡したケースは、3年内の贈与加算の対象となり相続税がかかることがありました。
教育資金の一括贈与の注意点
この制度で注意すべきこと。
①もらう人ともらわない人の不平等を避ける
例えば、お孫さんが2人のケースでは、平等に贈与をして将来のもめ事を避けましょう。
②余裕資金で贈与する
当たり前だと思われるかもしれませんが、ご主人や奥様の生活資金や老後資金を十分に確保した上で、贈与を考えましょう。
最優先すべきは、ご自身や奥様の生活です。
その次が、相続税の節税と子供さんやお孫さんの支援です。
相続税等のプロの税理士へ
相続税や贈与税のことはその道のプロ、詳しい税理士に相談しましょう。
相続税や贈与税はかなり特殊な税金です。
加えて、本当に詳しい税理士、いわゆるプロの税理士が実は少ないのが実際のところです。
税理士は、全国に約8万人もいます。
しかし、相続税に詳しい税理士はほんの一握りです。
相続税に詳しい税理士は、例外なく贈与税にも詳しいです。
予期せぬ税金がかからないように、相続税等のプロの税理士にご相談ください。
このブログで取り上げた子供や孫の教育資金を一括で支援ですが、説明したように注意点があります。
したがって、プロの税理士に相談したり依頼することは絶対です。
相続税のプロの税理士に関するブログもあります、参考になると嬉しいです。
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まとめ
このブログがきっかけで、節税できることを祈念いたします。
なお、お困りのことがありましたら、お気軽に問い合わせてください。
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