最近は、奥様の「名義預金」に関する相談が増えつつあります。
特に、無収入の専業主婦の名義預貯金に関して、次のような相談が時々寄せられます。
- 贈与税はかかるか?
- 主人が亡くなったら相続税?
- 時効はないのか?
今回は、そんな名義預金を取り上げます。
専業主婦の預金
専業主婦でも、パート勤めを始める方もたくさんいます。
しかし、議論の単純化のために、ここでは無収入の専業主婦を取り上げます。
無収入の専業主婦の預金や貯金は、次の収入からできます。
- 主婦の親からの贈与や相続
- 結婚前の給与などの収入
- ご主人からの貸借や贈与
- へそくり
これらのうち、①や②は純粋に専業主婦の財産です。
③は、あまり多くはないでしょう。
問題は④の「へそくり」です。
へそくりとは?
昔からある「へそくり」ですが、これは当然ながらご主人には内緒の預貯金です。
【原資】は、
- ご主人から預かった生活費の余り
- ご主人の収入全体を預かった余剰
【形態】は、
- タンス預金(現金) ~ ご主人の収入
- ご主人名義の預貯金 ~ 〃
- 奥様名義の預貯金 ~ 〃
- 子供さん名義の預貯金~ 〃
その扱いで悩むのは③と④の名義預金で、ご主人や子供さんに内緒の場合です。
奥様しかその存在を知らないために名義預金と言われますが、原資・収入はご主人ですから、ご主人の財産になります。
ご主人が健在なら、贈与税の課税が問題になります。
ご主人が死亡されたら相続税の課税が問題になります。
なお、名義を使用して預金した際は、名義人が知らなければ贈与になりません。
したがって、時間がたっても時効になりません。
内助の功
専業主婦も家事という仕事をしています。
毎日の家事は見過ごされやすいですが、重労働です。
そして、多くの場合、対価が支払われることがありません。
しかし、例えば相続税には、配偶者控除という「内助の功」に配慮した制度があります。
正式には、「配偶者に対する相続税額の軽減」といいます。※
これは、ご主人の相続財産のうち、法定相続分まで奥様が相続しても、相続税がかからないというものです。
子供さんがいる場合の奥様の法定相続分は1/2なので、半分が無税で相続できる。
しかも、最低保証が1億6,000万円あります。
1/2を超えても、1億6,000万円までが無税です。
※相続税法19条の2
まとめ
収入の無い専業主婦が、家計のやりくりで貯めた預金を、「奥様」名義にしたくなる気持ちは分かります。
それこそが「名義預金」です。
税金の計算上の帰属は「ご主人」になります。
揉めることを避けるためには、早めにご主人の名義に変更しましょう。
最初からご主人の名義で預金すれば悩むことはありませんが。
このブログが、少しでも参考になれば幸いです。
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