自宅を売っても3,000万円の特別控除があるから、税金はかからないし申告もしない。
と考えている人が多いようです。
そのくらい有名で、浸透している特例です。
しかし、3,000万円の特別控除以外にも特例があり、チョット注意する点もあります。
例えば、親子間の売買では特例が受けられません。
所得税と住民税で20%の税率なら、3,000万円の特別控除が受けられない影響は、税額で600万円と莫大です。
特例なので条件があります。
事例としてはさほど多くはないのですが、中には3,000万円の特別控除が受けられなくて、税金がかかるケースがあります。
そもそも論ですが、居住用の特例の対象とは何か?
住んでいる家屋とその敷地を売った場合は、特例に該当することが多いのですが、売れる前に転居したとか、単身赴任中で住んでいなかった場合、特例の対象になるのか気になりませんか?
今回は、次のポイントを、譲渡所得が専門の税理士が説明します。
- 前提となる居住用財産とは何か?
- 居住用の各種特例とは
- 特例が受けられないケース
お役に立てれば幸いです。
なお、お困りのことがありましたら、気軽に問い合わせてください。
【併せて読みたいブログ】
目次・譲渡所得【居住用の特例】に関するブログを検索、注意点や条件
自宅の売却で3,000万円控除。条件、注意点などもプロの税理士へ
居住用財産とは?
居住用財産とは自宅のことです。
専門的には、生活の本拠などといいますが、住んでいる家・住まいのことです。
しかし、住んでいる家を売った場合でも、特例が受けられない場合があります。
特例の対象となる居住用財産とは、次の家屋やその敷地です。
- 所有者が住んでいる家屋
- 住んでいた家屋で、住まなくなってから3年目の年末までに売ったもの
- ①又は②の家屋と共に売ったその敷地
- 災害により滅失した①の家屋の敷地
- 災害により滅失した②の家屋の敷地
- ①又は②の家屋を取壊し、売却したその敷地
①所有者が住んでいる家屋
所有者が生活の拠点として住んでいる家屋が特例の対象です。
しかし、所有者が住んでいなくても特例が受けられる場合が2つあります。
1つは、
所有者が転勤や転地療養等で単身の場合。
この場合は、次のイ、ロのとおりかなりゆるめです。
イ 従来所有者として住んでいなくても該当
例えば、単身から単身でも大丈夫です。
ロ 単身先の家屋を所有していても該当
もう1つは、家族を残して配偶者と共に転居した場合。
この場合は、次のイ~ニを満たす必要があり、単身の場合に比べてかなり厳しくなります。
イ 転居前は所有者として住んでいた家屋
ロ 転居後も生計一の親族が住んでいる
ハ 転居後、居住用の特例を受けていない
ニ 転居先で住んでいる家屋が持家でない
なお、居住用の特例に関して、チェックポイントが3つあります。
A 店舗併用住宅は、所有者の住まい部分
床面積で按分計算します。
90%以上は専らの取扱いがあります。
B 住んでいる家屋を2以上所有する場合
主たる家屋(生活の拠点)のみが対象。
C 居住用家屋の一部のみを譲渡した場合
残存部分に住める場合は非該当。
②住んでいた家屋で、住まなくなってから3年目の年末までに売ったもの
住んでいる家屋は、引っ越してから売る場合が普通ですが、買い手がすぐに見つからないケースが多いのが実態です。
そこで、法律上は3年目の年末まで猶予期間が設けられています。
①の住んでいる家屋から転居した後、3年目の年末までに売れれば特例に該当します。
ただし、民法の期間計算のルールがあり、1月1日に転居した場合は2年目の年末までになり、1年間短くなります。
①又は②の家屋と共に売ったその敷地
家屋とその敷地をセットで売るのが普通です。
①又は②の家屋と、その敷地をセットで売った場合は、敷地も特例の対象になります。
多くの場合、家屋と敷地の所有者は同じです。
ところが、家屋と敷地の所有者が異なる場合があります。
特例は、家屋を核として構成されています。
つまり、家屋と敷地の所有者が異なる場合には、家屋の所有者が特例の対象になります。
しかし、家屋と敷地全体で1つの生活共同体の居住用財産とみて、特例を適用すべきとの考え方があります。
具体的には、妻が家屋、夫がその敷地を所有している場合には、家屋と敷地のセットで特例を適用できます。
この場合、3,000万円の特別控除なら、家屋から先に特別控除を適用し、特別控除の残額があれば、敷地からも控除できることになります。
災害により滅失した①の家屋の敷地
住んでいる家屋が火災などで滅失したケース。
火災などで滅失した日から住めなくなりますが、それ以後3年目の年末までに敷地を売れば、特例の対象になります。
なお、家屋の滅失以後、敷地の用途は問いません。
災害により滅失した②の家屋の敷地
転居した後で家屋が火災などで滅失したした場合、災害という特殊性を考慮して、住まなくなってから3年目の年末までに売れれば特例の対象になります。
この場合も、家屋の滅失以後、敷地の用途は問いません。
①又は②の家屋を取壊し、その敷地を譲渡
家屋を取壊して敷地のみを売ったケース。
特例は、家屋を核として構成されていますが、次の2つの条件を満たせば、特例の対象になります。
イ 取壊しから1年以内に敷地の売買契約
ロ 敷地を貸付などしていない
なお、次の場合は特例の対象からはずれます。
- 敷地に建物などを建築し、敷地と共に売った場合
- 敷地を駐車場などとした場合
- 家屋を曳家して敷地を売った場合
居住用の各種特例とは
居住用の特例は、次の7種類あります。
- 軽減税率
- 3,000万円の特別控除
- 空家の3,000万円の特別控除
- 買換えの特例
- 交換の特例
- 買換等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除
- 特定の居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除
詳しいことは次のブログをご覧ください。
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7種類の居住用の各種特例とは?税理士が解説、3,000万円以外も
譲渡の損失は給与などから引けませんが、居住用なら引ける特例が2つ
特例が受けられないケース
特例ごとに適用条件は異なりますが、共通する部分もあります。
居住用の特例が受けられないケースは、以下のとおりです。
- 特例の適用を受けるためのみの目的で入居したと認められる家屋
- 家屋の新築期間中だけの仮住まいである家屋
- その他一時的な目的で入居したと認められる家屋
- 主として趣味、娯楽又は保養の用に供する目的で所有する家屋
- 所有者として住んでいない家屋
- 買主が配偶者などや同族会社のケース
- 住まなくなってから4年目以降(3年目の年末を経過)
- 住まい専用でない家屋の住まい以外部分
- 家屋の一部のみを売った場合
- 3年に一度(前年、前々年に居住用の特例を受けているケース)
- 他の特例との重複適用
- 各種特例ごとの適用条件を満たさないケース
詳しいことは改めて別のブログに書きます。
【併せて読みたいブログ】
居住用3,000万円などが受けられない12のケースを税理士が説明
居住用3,000万円控除の可否は、税理士が4つの質問で判断します
譲渡所得に詳しい税理士へ
譲渡所得のことはその道のプロ、詳しい税理士に相談しましょう。
譲渡所得はちょっと特殊な税金です。
加えて、本当に詳しい税理士、いわゆるプロの税理士は多くありません。
税理士は、全国に約8万人もいます。
しかし、譲渡所得に詳しい税理士は、実は少ないのが現状です。
このブログでは、特例の対象となる居住用財産とは何か、さらに、居住用の各種特例と特例が受けられないケースも取り上げましたが、専門的で注意が必要です。
したがって、予期せぬ税金がかからないように、プロの税理士に相談したり依頼することは絶対です。
なお、プロの税理士に関するブログもあります、参考になると嬉しいです。
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現役税理士のお勧め、理想の税理士は税理士紹介サイト・ランキングで
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まとめ
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