ご自宅を売った場合は、3,000万円控除があるから税金はかからない!
とお考えの人は、かなりいらっしゃいます。
しかし、チョット待ってください。
もちろん、税金がかからないケースが多いでのすが、必ず特別控除が受けられるわけではないです。
言い換えると、3,000万円の特別控除など居住用の7種類の特例には、適用できないケースがあります。
つまり、特例は条件をクリアすること。
例えば、親子間の売買では、特例が受けられません。
そこで、居住用の各種特例が受けられない12のケースを、専門の税理士が説明します。
特例に該当するかしないかで、納める税金に大きな差が出ます。
所得税と住民税で20%の税率なら、3,000万円の特別控除が受けられない影響は、税額で600万円と莫大です。
税金以外にも、国民健康保険の保険料が高くなったりします。
特例の条件などはかなり専門的なため、詳しい税理士に相談することが重要です。
なお、お困りのことがありましたら、気軽に問い合わせてください。
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特例が受けられない12のケース
特例ごとに適用条件は異なりますが、共通する部分もあります。
居住用の特例が受けられないケースは、以下のとおりです。
なお、特例の適用のためには、所得税の確定申告が必要です。
- 特例の適用を受けるためのみの目的で入居したと認められる家屋
- 家屋の新築期間中だけの仮住まいである家屋
- その他一時的な目的で入居したと認められる家屋
- 主として趣味、娯楽又は保養の用に供する目的で所有する家屋
- 所有者として住んでいない家屋
- 買主が配偶者や親族などのケース
- 住まなくなってから4年目以降(3年目の年末を経過)
- 住まい専用でない家屋の住まい以外の部分
- 家屋の一部のみを売った場合
- 3年に一度(前年、前々年に居住用の特例を受けているケース)
- 他の特例との重複適用
- 各種特例ごとの適用条件を満たさないケース
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居住用3,000万円控除の可否は、税理士が4つの質問で判断します
①特例の適用を受けるためのみの目的で入居したと認められる家屋
居住用の3,000万円控除などの対象は、生活の本拠です。
例えば、親から相続した遠隔地にある実家を、住む予定が無いために売却するケース。
所得税や住民税の納税を減らしたい、払いたくないと考えるのは自然なことです。
誰でも、税金は少ない方がいいと思っていることでしょう。
ここで、住まいを売ったら3,000万円の控除があることに気づいたら?
- 住んでいない、住まいは別にあるからと諦める
- ちょっとでも住もうと考える
- 住民票だけ異動する
本来あるべきは、①です。
住んでいないのに住民票だけ異動する③は、ごまかし行為でやってはいけません。
税務署から仮想隠ぺいに当たると指摘され、特別控除はもちろん、重加算税を賦課されることになります。
そして②が、特例の適用を受けるためのみの目的で入居したと認められる家屋です。
特例を受けるため以外に住む目的が無い、理由が無いケース。
普段の生活に支障をきたすため、1日だけ、日曜日だけ、1か月間のみ居住。
しかし、それは居住とは言えないものです。
居住用の3,000万円控除などの対象は、生活の本拠です。
特例の適用を受けるため、のみの目的での入居が、特例に該当しないことは明らかです。
②家屋の新築期間中だけの仮住まいである家屋
居住用の3,000万円控除などの対象は、生活の本拠です。
それまでの住まいを、何らかの理由で建て替えることになったとき。
住宅を所有していなければ、賃貸アパートなどに入居することになります。
しかし、住宅を所有していたため、住まいの新築期間中だけ住むことにした。
住まいが完成すれば、新居に引っ越す。
すると、それまで住んでいた住宅が不要になることから、売却する。
この住宅は、生活の本拠とはいえないため、特例の対象になりません。
③その他一時的な目的で入居したと認められる家屋
居住用の3,000万円控除などの対象は、生活の本拠です。
自宅の新築期間中だけの仮住まいがわかりやすい例ですが、その他一時的な目的で入居とは。
具体的な事例はあまり多くないと思われます。
言い換えれば、生活の本拠としての入居かどうかです?
入居の時点で、次の転居が決まっている、考えている。
それなら特例の対象外になります。
④主として趣味、娯楽又は保養の用に供する目的で所有する家屋
居住用の3,000万円控除などの対象は、生活の本拠です。
主として趣味、娯楽又は保養の用に供する目的で所有する家屋とは、別荘やセカンドハウスなどです。
生活の本拠・拠点ではありませんから、特例の対象になりません。
⑤所有者として住んでいない家屋
特例の対象は、家屋と敷地の所有者が住んでいる場合です。
例えば、父親から相続した実家に母親だけが住んでいるケース。
なお、次のケースは特例の対象になります。
- 転勤で単身赴任のケース
- 転勤で配偶者と共に転居し、子供が住んでいるケース
この場合は別のブログに書きましたので、ご覧ください。
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居住用財産とは何?税理士が解説、譲渡所得の3,000万円控除など
⑥買主が配偶者や親族などのケース
特例の考え方は、住んでいる家屋を売ったことで、新たな住まいの取得を応援するという住宅取得促進です。
住まいを売ったことに対する税金負担を減らし、同質の住まいの取得を応援する。
例えば、身内に売った場合では、引き続き居住できます。
つまり、住むところがなくなっていませんから、税金を優遇する必要が無いということ。
特例の対象から除かれる買主とは?
- 配偶者
- 子供、孫、父母、祖父母などの直系血族
- 子供の配偶者(姻族)など生計を一にする親族
- 売却後にその家屋に共に居住する親族
- 内縁関係者、その者と生計一の親族
- 生計維持者、その者と生計一の親族
- 特殊関係法人(50%超を所有)
⑦住まなくなってから4年目以降(3年目の年末を経過)
自宅の譲渡では、住んでいる自宅の家屋とその敷地の譲渡はもちろん該当しますが、住まなくなった自宅の家屋とその敷地も特例の対象になります。
多くは、引越しをしてから譲渡しますが、買い手がすぐに見つかるとは限りません。
売ろうとしても1年くらいは買い手が見つからないことはざらでしょう。
とはいえ、いつまでも特例の対象ともできないため、法律で期限を決められています。
住んでいた自宅を、住まなくなってから3年目の年末までに譲渡すること。
3年目の年末に関連して、注意点があります。
⑴ 民法の期間計算から、1月1日に住まなくなったケースは、2年目の年末までとなりますので注意しましょう。1月2日以降に住まなくなったケースは、3年目の年末までに譲渡できれば大丈夫です。
⑵ 家屋を取り壊したケースでは、次のイとロに当てはまること。(※)
イ 敷地の譲渡に関する契約が、家屋を取り壊した日から1年以内に締結され、かつ、家屋に住まなくなってから3年目の年末までに譲渡されたこと。
ロ 家屋の取り壊し以後、貸付けその他の用に供していなかったこと。
※租税特別措置法通達35-2(居住用土地等のみの譲渡)
⑧住まい専用でない家屋の住まい以外の部分
例えば、店舗兼住宅のケース。
1階の一部が美容室で、残りと2階が住まい。
特例の対象は、住まいの部分です。
床面積の按分計算で、住まい部分を特定します。
その際には、住まい専用部分と住まい以外専用部分との按分計算をします。
なお、住まい部分が90%を超えるケースでは、100%居住用(※)として計算できます。
※専らの取り扱い、租税特別措置法通達31の3-8
⑨家屋の一部のみを売った場合
自宅の家屋の一部のみを売った場合には、残存部分が、機能的にみて独立した住まいと認められるときは、居住用の特例が受けられません。(※)
普通の売買では起こりずらいケースです。
しかし、道路の拡幅事業(収用)では、道路の拡幅が家屋の一部にかかっているため、その部分を取り壊して残った壁を補修する場合。
※租税特別措置法通達31の3-10
⑩3年に一度(前年、前々年に居住用の特例を受けているケース)
毎年住まいを売る人は、ごく稀です。
制度としては、3年に一度の救済で十分とされました。
基本は、各種特例を前年と前々年に受けていないことです。
⑪他の特例との重複適用
居住用の3,000万円特別控除と、居住用以外の特例(優良住宅地造成等や収用の5,000万円特別控除など)では、重複適用できないものがあります。
なお、居住用の他の特例でも、それぞれに重複できない特例があります。
【居住用の3,000万円特別控除と重複適用できない特例】
- 固定資産の交換(所法58)
- 優良住宅地造成等(措法31の2)
- 収用等代替(措法33)
- 交換処分等(措法33の2)
- 換地処分等(措法33の3)
- 収用交換等5,000万円控除(措法33の4)
- 特定の土地等1,000万円控除(措法35の2)
- 居住用財産の買換え(措法36の2)
- 居住用財産の交換(措法36の5)
- 事業用資産の買換え(措法37)
- 事業用資産の交換(措法37の4)
- 中高層耐火建築物買換・交換(措法37の5)
- 特定の交換分合(措法37の6)
- 特定普通財産との交換(措法37の8)
- 平成21、22年土地等先行取得(措法37の9)
- 住宅借入金等特別控除(措法41)
なお、居住用の特例どうしでも、併用できたり選択適用だったりします。
例えば、税率軽減と3,000万円特別控除は、両方適用できます。
しかし、居住用の買換え・交換特例を適用すると、税率軽減と3,000万円特別控除は使えません。つまり選択適用です。
※居住用の3,000万円特別控除以外の特例と、重複適用できない特例の説明は省略します。
⑫各種特例ごとの適用条件を満たさないケース
居住用の特例には特例ごとに適用条件があり、それを満たす必要があります。
例えば、税率軽減の特例は、日本国内にある住まいが対象です。
しかし、居住用の3,000万円特別控除は、日本国内に限定されません。
したがって、イギリスに住んでいた人が住まいを売却して帰国した場合、イギリスの住まいの売却について3,000万円特別控除を適用できますが、税率軽減の特例は適用できません。
このように、特例ごとの適用条件を満たす必要があります。
なお、居住用の3,000万円特別控除の詳しい内容は、次のブログに書きましたのでご覧ください。
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譲渡所得に詳しい税理士に相談
譲渡所得のことはその道のプロ、詳しい税理士に相談しましょう。
譲渡所得はちょっと特殊な税金です。
加えて、本当に詳しい税理士、いわゆるプロの税理士は多くありません。
税理士は、全国に約8万人もいます。
しかし、譲渡所得に本当に詳しい税理士は、実は少ないのが現状です。
このブログでは、特例が受けられないケースを取り上げましたが、専門的で注意が必要です。
予期せぬ税金がかからないように、プロの税理士に相談したり依頼することは絶対です。
例えば、3,000万円の特別控除は、〇か×か!
つまり、3,000万円の控除か、ゼロかしかなく、途中の控除がないため、発生した税金に愕然とすることになりかねません。
そこで、譲渡所得が専門の税理士探しですが、税理士紹介サイトの利用がお勧め。
一押しは税理士ドットコムです。
サイトの利用はもちろん無料です。
公式サイトは、
なお、プロの税理士のブログも書きました。
参考になると嬉しいです。
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現役税理士のお勧め、理想の税理士は税理士紹介サイト・ランキングで
目次・税理士関連ブログを検索しやすく。選び方、報酬引下げetc
まとめ
ご自宅を売った場合の特例が、受けられないと事件です。
そんな筈ないと思っていたら、手違いで悲惨なことになりかねません。
転ばぬ先の杖!
このブログが参考になると嬉しいです。
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