住まいを売った場合に、3,000万円控除があることをご存じの方は多いと思います。
しかし、3,000万円控除は受けられないケースがあります。
特例には条件があります。
そこで、譲渡所得が専門の税理士なら、例えば電話で相談された際にどうするのか?
専門の税理士の私なら、相談者に4つの質問をします。
その際、相談者の答えで特例の可否が概ね分かります。
その質問とは?
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4つの質問?
相談者からの問い合わせに対して、私なら次の4つの質問をします。
- いつからいつまで住んでましたか?
- 住まいを売ったのは初めてですか?
- 買主は他人ですか?
- 住まい専用でしたか?
この質問に対する答えで、特例の可否はほぼ判断できます。
そこで、4つの質問でどんなことを確認するのかを説明します。
なお、質問に対する回答内容によっては、追加の質問をするケースがあります。
また、回答の言葉などから、4つの質問以外の要素を判断したり、確認のための更なる質問をすることも考えられます。
逆に、4つの質問の途中で特別控除が受けられないことが判明したケースでは、残りの質問を中止することがあります。
①いつからいつまで住んでましたか?
A 住んでいた期間が極端に短くないか?
B 住まなくなってからどのくらい経っているか?
A 住んでいた期間が短くないかを確認する理由。
それは、特別控除が受けられない次のケースでないことを確認するためです。
- 特別控除を受けるためのみの目的で住んだ場合
- 家屋の新築期間中だけの仮住まい
- その他一時的な目的で入居した場合
B 住まなくなってからの期間を確認する理由。
住まなくなってから3年目の年末までに売らないと、特別控除に該当しないためです。
(注)住まなくなったのが1月1日のケースは、2年目の年末になるので注意が必要です。
なお、住まなくなってから、建物を取り壊したかどうかを確認する必要があります。
その理由は、建物を取り壊した場合は次の点のクリアが求められます。
イ 敷地の譲渡に関する契約が、家屋を取り壊した日から1年以内に締結され、かつ、家屋に住まなくなってから3年目の年末までに譲渡されたこと。
ロ 家屋の取り壊し以後、敷地を貸付けその他の用に供していなかったこと。
※租税特別措置法通達35-2(居住用土地等のみの譲渡)
②住まいを売ったのは初めてですか?
住まいを売ったのが初めてであれば、3年に1度しか特例を受けられないという条件を、クリアできます。
例えば、住まいを売るのは2回目です。又は、3回目ですという場合には、追加で次の質問をします。
- 前回はいつでしたか?
- 4年以上前ですか?
これで、3年に1度かどうかが分かります。
③買主は他人ですか?
買主によっては、特別控除が受けられないことがあります。
除外される買主は次の7つですが、買主が他人であればそれ以上質問する必要がありません。多くの場合は他人です。
なお、以下の7つに該当しなければ身内の売買でもOKです。
質問の答えが親戚ですなどの場合には、具体的にはどのような関係ですかなどと、追加で質問をすることになります。
- 配偶者
- 子供、孫、父母、祖父母などの直系血族
- 子供の配偶者(姻族)など生計を一にする親族
- 売却後にその家屋に共に居住する親族
- 内縁関係者、その者と生計一の親族
- 生計維持者、その者と生計一の親族
- 特殊関係法人(50%超を所有)
④住まい専用でしたか?
特例は、住まいに対するものです。
事例は多くありませんが、次のようなケースでは、居住用部分を床面積で按分することになります。
- 店舗兼住宅
- 建物の一部が未利用
4つの質問以外の要素を判断
4つの質問以外の要素として、次の4つに当たらないかを判断する必要があります。
- 別荘など主として趣味、娯楽又は保養用の家屋
- 家屋の所有者が住んでいないケース
- 家屋の一部のみを売った場合
- 他の特例との重複適用
この判断では、質問に対する回答の言葉遣いで、例えば実家の家に母親が一人暮らししているなど、回答者自身が住んでいないことが分かる言い方があります。
例えば、「母が住んでいます」といういい方は、「私が住んでいます」とは明らかに意味合いが異なることになります。
また、いつからいつまで住んでいましたかという質問の際に、夏場だけ住んでいましたとか、遠方なのでという言葉があったりすることで、「その住まいはどこにありましたか?」とか、「別荘ですか?」などと確認の質問をすることになります。
さらに、買主は他人ですかの質問の際に、「市の道路拡幅事業にかかったために売りました」という答えの場合には、拡幅部分のみ取り壊して壁を補修することがあることから、「建物は全部壊しましたか?」と更問することが必要になります。
譲渡所得に詳しい税理士に相談
譲渡所得のことはその道のプロ、詳しい税理士に相談しましょう。
譲渡所得はちょっと特殊な税金です。
加えて、本当に詳しい税理士、いわゆるプロの税理士は多くありません。
税理士は、全国に約8万人もいます。
しかし、譲渡所得に本当に詳しい税理士は、実は少ないのが現状です。
このブログでは、居住用の3,000万円控除に関して、特例の可否を判断する目的で、あえて4つの質問をしますということを説明しました。
この質問に対する回答次第で、更に追加質問したり、言葉遣いから言外の意味合いを探ったりすることも必要になります。
4つの質問自体は、相手から意外だと思われるものでもあります。
相手が3,000万円控除が受けられますかと質問しているところを遮って、「こちらから逆に質問してもいいですか?」と前置きしてから質問します。
お分かりかと思いますが、相手の説明だけを聞いていても、特別控除の適否は判断できません。
そして、4つの質問は簡潔に判断するために不可欠なものです。
予期せぬ税金がかからないように、プロの税理士に相談したり依頼することは絶対です。
例えば、3,000万円の特別控除は、〇か×か!
つまり、3,000万円の控除か、ゼロかしかなく、途中の控除がないため、発生した税金に愕然とすることになりかねません。
そこで、譲渡所得が専門の税理士探しですが、税理士紹介サイトの利用がお勧め。
一押しは税理士ドットコムです。
サイトの利用はもちろん無料です。
公式サイトは、
なお、プロの税理士のブログも書きました。
参考になると嬉しいです。
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まとめ
ご自宅を売った場合、3,000万円の特別控除が受けられないと事件です。
そんな筈ないと思っていたら、手違いで悲惨なことになりかねません。
転ばぬ先の杖!
このブログが参考になると嬉しいです。
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