非上場会社の事業承継(贈与税の納税猶予~特例措置)を取り上げます。
今回は、後継者(受贈者)の適用要件を、詳しく説明します。
後継者(受贈者)
後継者(受贈者)とは、文字どおり会社を引継ぐ人です。
その後継者の要件とは、次の内容になります。
- 株式の取得が、平成30年1月1日から令和9年12月31日までの贈与である
- 贈与の時に18歳以上である
- 贈与の時に会社の代表権を有している
- 贈与の時に後継者と特別関係者で50%超の議決権を保有している
- 後継者が1人の場合、贈与の時に後継者と特別関係者の中で議決権数が最多である
- 贈与の日まで引続き3年以上会社の役員である
- 贈与の時から申告期限まで、受贈した株式を保有している
- 申告期限までに都道府県知事の認定を受ける
以下、個別にみていきます。
株式の取得が、平成30年1月1日から令和9年12月31日までの贈与である
特例措置の対象となる贈与は、令和9年12月31日までの10年間に限られます。
特例措置のメリットは、
- 全株式等が対象になる
- 後継者を3人まで対象にできる
- 事業承継期間の雇用確保要件は柔軟に適用される
なお、都道府県知事の事前確認を受けておくことが前提になります。
この事前確認は期間が定められており、平成30年4月1日から令和6年3月31日までとなっていることに注意が必要です。
贈与の時に18歳以上である
従来は贈与の時において、20歳以上とされていましたが、民法の改正で、令和4年4月1日から18歳以上に引き下げられています。
いわゆる成年であること。
贈与の時に会社の代表権を有している
会社の代表権は2人以上が持っていても問題ありません。
しかし、贈与の時前に、先代経営者は代表を退き、後継者へ禅譲するということが必要です。
なお、先代経営者は役員にとどまることはできますので、代表権は持たないものの役員として、後継者への帝王学の伝授に努めることは可能です。
後継者には、この後説明する役員歴3年以上という要件があります。
3年先を見据えて、後継者の役員就任と、贈与の時までに代表権をバトンタッチする。
なおかつ、特例措置の対象となる贈与が令和9年12月31日まで。
さらに、後継者としての都道府県知事の事前確認(令和6年3月31日まで)を、受けておくことが前提になります。
これらのタイムリミットを考えると、令和5年中の役員就任と事前確認を受ける必要がありそうです。
贈与の時に後継者と特別関係者で50%超の議決権を保有している
後継者とその家族で過半数の株式(議決権)を保有すること。
もちろん、特別決議が可能な2/3が望ましいのは言うまでもありません。
【参考】特別関係者とは
- 贈与者の親族
- 事実上婚姻関係と同様の事情にある者
- 使用人
- 同族会社
※租税特別措置法施行令第40条の8第11項
後継者が1人の場合、贈与の時に後継者と特別関係者の中で議決権数が最多である
後継者は、特別関係者の中で最多の株式を保有すること、つまり、最多の発言権と考えれば、必須であることは明白だと思います。
贈与の日まで引続き3年以上会社の役員である
必要十分ではないにしろ、3年以上は役員経験を積むこと。
3年ではなくて5年という意見も当然あることでしょう。
いずれにしても、先代経営者から引き継いで、会社を経営していくことを考えると、経験は多いに越したことがないでしょう。
※この要件を満たさないケースとして、設立3年未満の新会社は、事業承継の制度を受ける余地がないことになります。
贈与の時から申告期限まで、受贈した株式を保有している
贈与を受けた株式は、手放してはいけません。
贈与税の申告期限である翌年3月15日まではもちろん、その後においても、1株たりとも手放さないこと。
手放すと、それまで猶予されていた贈与税と利子税を加算のした上で、納税することになりますので、注意が必要です。
申告期限までに都道府県知事の認定を受ける
事業承継の円滑化のステップとして、承継計画の知事の承認を受けること。
贈与前に、都道府県知事の確認を受け、贈与後申告期限までの間に認定を受けることが必要です。
【出典~国税庁のホームページ】
【併せて読みたいブログ】
目次・【法人版・事業承継】に関するブログを検索しやすくするために
事業承継のことはプロの税理士へ
事業承継のことは、その道のプロ・詳しい税理士に相談しましょう。
なお、本当に詳しい税理士、いわゆるプロの税理士が少ないのが実態です。
税理士は、全国に約8万人もいます。
しかし、事業承継に詳しい税理士は、ほんの一握りです。
そんな税理士の探し方は、紹介サイトがお勧めです。
サイトの利用はもちろん無料。
一押しは税理士ドットコムです。
公式サイトは、

まとめ
このブログでは、事業承継の対象である先代経営者の適用要件を取り上げました。
ご主人の参考になると嬉しいです。
なお、お困りのことがありましたら、お気軽に問い合わせてください。
★お問い合わせはこちらからお願いします。