平成元年4月の施行から35年も経ちました。
すっかり当たり前になった感のある消費税ですが、一方では根強い反対も。
最初は、3%でしたがどんどん増えて今や10%になりました。
消費税には色々な届出がありますが、今回は「簡易課税」を取り上げます。
失念すると多額の税負担が生じる場合がありますので、ご注意ください。
簡易課税を選択したいケース
◎簡易課税を選択したいケース
簡易課税を選択すると、実際より多くの仕入税額控除が受けられ、節税になるケースがあります。
- 実際の仕入れ率が、業種ごとのみなし仕入れ率より低い場合
※特に注意を要するのは、
2年前の課税売上が1,000万円を超えているため、2割特例が受けられないケース。
例えば、
インボイス制度を機に免税事業者からインボイス発行事業者となった場合、2割特例が適用できます。2割特例を適用すると、仕入金額に関係なく売上の2%の納税にできます。
しかし、例えば、
令和4年分の課税売上が1,000万円以下のため、令和6年分はインボイス登録で2割特例を適用していた場合でも、令和5年分の課税売上が1,000万円を超えると2年後の令和7年分は、2割特例が使えません。
このため、実際の仕入れ率とみなし仕入れ率を比較し、みなし仕入れ率の方が大きい場合には、「簡易課税選択届出書」を提出しましょう。
➡➡ 「選択届出書」は、前年の12月31日までに提出しなければなりません。
令和7年分を簡易課税にするためには、令和6年12月31日までに届出書を提出しなければなりません。
×簡易課税を止めたいケース
一方で、設備投資や高額な買い物を予定している場合は、簡易課税を選択しないで、仕入税額控除により、消費税の還付を受けることができます。
➡➡ 「選択不適用届出書」も、前年の12月31日が提出期限です。
「簡易課税」とは?
消費税の計算を簡単に説明すると、次のとおりです。
(売上×10%)-(仕入経費×10%)=納税額
売上の際に受け取った10%の消費税から、仕入や経費で支払った10%の消費税を差し引いた残りが納税額です。
個人の場合は、1年ごとに計算して、翌年3月31日に納税します。
★簡易課税とは?
売上から差し引く「仕入経費」を、実際の金額ではなく「業種ごとのみなし仕入率」で計算するというものです。
★みなし仕入率
1種~6種に分類した業種ごとに、仕入率が定められています。
- 1種 卸売業 ~ 90%
- 2種 小売業 ~ 80%
- 3種 農林魚業・建設業・製造業 ~ 70%
- 4種 飲食サービス業 ~ 60%
- 5種保険業・サービス業 ~ 50%
- 6種 不動産業 ~ 40%
簡易課税のメリット
ここでは、第5種のサービス業で説明します。
この場合、みなし仕入率は50%です。
実際の仕入率が35%でも、50%で計算できます。
<売上が800万円のケース>
(売上×10%)ー(仕入×10%)の計算では、
800万円×10%ー800万円×50%×10%
➡ 80万円ー40万円で、納税額は40万円となります。
つまり、実際より多く控除できるため、納税額を少なくできます。
※簡易課税制度は、中小事業者の事務負担を考慮して設けられた制度です。
簡易課税の注意点
仕入率で有利なケースがありますが、注意点もあります。
設備投資や車の買入などがあるケースでは、簡易課税の適用を止めて、実際の仕入金額で計算することにより、仕入税額の還付を受けられることがあります。
このため、これらの設備投資などを計画している年は、
前年の12月31日までに、「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」を提出する必要があります。
(注)
簡易課税を選択した後、2年間は簡易課税を止めれません。
まとめ
今回は、消費税の簡易課税で、「選択届出書」と「選択不適用届出書」を取り上げました。
令和7年分では、令和6年12月31日までに提出することが必要です。
期限は明日までですが、明日の消印有効です。
選択の仕方によって、消費税が多額に変動します。
気になる方は、関与税理士に問い合わせてください。
このブログが、少しでも参考になれば幸いです。
なお、お困りのことがありましたら、気軽に問い合わせてください。
★お問い合わせはこちらからお願いします。