相続税の特例は、申告期限までに相続で取得することと、期限内の申告が条件です。
相続税の計算で申告期限までに相続することは重要です。
それは、申告期限までの相続と申告が前提の次の2つの特例が受けられないと、納税額に大きく影響するからです。
- 配偶者に対する相続税額の軽減
- 小規模宅地等の特例
したがって、相続人間でスムーズに遺産分割ができないケースでは、原則として特例を受けることができません。
ただし、申告期限から3年以内にであれば、一定の手続きをとることで特例を受けることができる場合があります。
申告期限は延びない
残念ながら、10か月の申告期限は延びません!
※相続税法27条
相続開始(通常は死亡)から10か月の申告期限は意外と早くて、あっという間です。
相続人が多い場合や中には遠方の人もいたりします。
また、それぞれに仕事がありますから、なかなか日程が合わずに、全員が一堂に会する機会は正月や初盆など数回になることもしばしばです。
そんなこんなで、気が付いたら相続税の申告期限の10か月が間近になっていることがあります。
重要なのは配偶者に対する相続税額の軽減や小規模宅地等の特例を受けられるかどうかで、相続税の納税額に大きく影響します。
未分割の申告
中には、相続人間の話し合いが難航して、申告期限までに遺産の分割ができないケースがあります。
しかし、10か月以内の申告は絶対で、申告期限は延長されません。
そして、期限に遅れた申告を期限後申告といいます。
期限後申告では、本来の相続税額に加えて、無申告加算税と延滞税という余分な税金がかかります。
以上のことから、無申告加算税を払わない、つまり、申告期限内に申告する方策として、未分割の申告方法が相続税法に規定されています。
※未分割の申告~相続税法55条(未分割遺産に対する課税)
遺産分割が整わない場合は、民法の相続分に応じた申告をすることになります。
言い換えれば、仮の申告をするということ。
例えば、ご主人が亡くなったケースであれば、通常は奥様と子供さんが相続人になります。
民法の法定相続分は、奥様が1/2、子供さんが残りの1/2。
子供さんが数人いるときは、1/2を均等に分けます。
仮の申告とは、法定相続分で仮に分けた場合の申告書を提出するというもので、実際に遺産分割が整えば、仮の申告を修正(※)することになります。
※修正には、納税額が増える修正申告と、納税額が少なくなる更正の請求という手続きになります。
なお、修正申告などの手続きによらずに、相続人間で調整しても構いません。
【納税の期限】
10か月は納税の期限でもあります。
法定相続分に応じた申告と同時に、納税資金の工面も必要になります。
即納できないときには、分割納付(年賦ー延納)や物納の手続きも考慮します。
※相続税法39条(延納手続)
延納は、10か月の期限までに、担保の提供に関する書類を添付して申請します。
特例を受ける手続き
冒頭で触れた次の2つの特例は、10か月以内に相続で取得することが前提ですが、申告期限までに分割できない場合の手続きがあります。
- 配偶者に対する相続税額の軽減
- 小規模宅地等の特例
その手続きは、法定相続分での仮の申告書に、申告期限後3年以内の分割見込書を添付します。
これにより、後日話し合いがまとまって分割できた際には、分割が行われた日の翌日から4か月以内に「更正の請求」を行うことができます。
※3年以内にまとまらない場合には、遺産が未分割であることについてやむを得ない事由がある旨の承認申請書を、申告期限後3年を経過する日の翌日から2か月を経過する日までに提出しましょう。
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目次・【相続税の配偶者の税額軽減】に関するブログを検索しやすく
【出典~国税庁ホームページ】
相続税のプロの税理士へ
相続税のことは、その道のプロ・詳しい税理士に相談しましょう。
相続税はかなり特殊な税金です。
加えて、本当に詳しい税理士、いわゆるプロの税理士が少ないのが実際のところです。
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しかし、相続税に詳しい税理士はほんの一握りです。
予期せぬ税金がかからないように、相続税のプロの税理士にご相談ください。
相続税のプロの税理士に関するブログもあります、参考になると嬉しいです。
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まとめ
このブログが参考になることを祈念します。
なお、お困りのことがありましたら、お気軽に問い合わせてください。
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