生命保険金が満期になる際に、注意すべきは贈与税です。
満期保険金を保険料負担者以外の人が受取ると、贈与税がかかります。
贈与税は高い税金です。
なので、贈与にならない方策を講じることが重要です。
ご主人の生命保険の受取人を、奥様にすることはよくあるケースですが、奥様に贈与税がかかります。
この贈与税を回避する方策は、受取人をご主人(保険料負担者)に変更することです。
すると、一時所得の対象で所得税と住民税になります。
一時所得は、贈与税に比べてはるかに安くなります。
安くなる3つの理由は、
- 払込保険料の金額を控除できる
- 50万円を控除できる
- 残額を1/2する
しかし、受取人の変更は満期になる前でなければなりませんが、うっかりすることもあります。
今回は、そんな贈与税をなんとかする方策。
それは、贈与税の配偶者控除を使うこと。
満期の保険金で贈与税が695万円
説例に基づいて説明します。
【説例】
保険料負担者;ご主人
保険金受取人;奥様
満期保険金額;2,000万円
このケースで奥様にかかる贈与税は695万円。
※相続税法21条の7(贈与税の税率)。
※生命保険の契約者が誰かは関係しません。
ご主人が受取人だったら、所得税・一時所得になります。
一時所得の計算は、2,000万円から支払った保険料を差引き、50万円を控除した後の1/2が課税対象になります。
(2,000万円ー払込保険料ー50万円)×1/2=一時所得
所得税と住民税は、他の所得と合算して計算するため一概には言えませんが、かなり少額の場合が多いです。
又は、低金利の時代ですから保険の運用益が少ないために、税金対象がゼロの場合も考えられます。
贈与税と一時所得の境目は、保険料負担者が受取人か否かです。
(注)受取人変更は、満期後はできません。
しかも、この事実を税務署に隠すことはできません。
なぜなら、保険会社には税務署へ通知義務があるからです。
(正確には、「支払調書」の提出義務。)
名案!
贈与税を払わない方法が1つだけあります。
それは、夫婦間の特例である、贈与税の配偶者控除を受けること。
※夫婦間で使える贈与税の特例は、これだけ。
特例(配偶者控除)の条件は、
- 婚姻期間が20年以上の夫婦間
- 奥様に自宅や自宅の資金をあげる
- 翌年3月15日までに住んで住み続ける
- 翌年3月15日までに申告する
この特例は、奥様が自宅を購入するための「お金」でも大丈夫です。
特例が最大2,000万円、基礎控除110万円と合わせて、2,110万円までの贈与に対する贈与税が無税になります。
※相続税法21条の6。
※措置法70条の2の4。
出典:国税庁ホームページ・質疑応答事例。
贈与により取得したものとみなされる保険金で配偶者が居住用不動産を取得した場合の贈与税の配偶者控除
現在も、ご自宅にお住いだとは思います。
それでも、この際新たにご自宅を購入・建築してしまう。
その上で、2,110万円分の登記名義を奥様にします。
695万円の贈与税を無税にできるのは、これしかないです!
相続税の節税対策
贈与税の配偶者控除を適用すれば、相続税の節税にもなります。
失礼な話で恐縮ですが、ご主人の相続財産を減らせるということ。
しかも、増税の議論で期間が延長されそうな「3年内贈与加算」の対象外です。
【併せて読みたいブログ】
相続税の節税対策で贈与税の配偶者控除を活用するブログの目次を作成
奥様に自宅を贈与すると相続税が節税。プロの税理士が仕組みを説明!
相続税のプロの税理士へ
相続税のことはその道のプロ、相続税に詳しい税理士に相談しましょう。
相続税はかなり特殊な税金といえます。
加えて、本当に詳しい税理士、いわゆるプロの税理士が実は少ないこと。
税理士は、全国に約8万人もいます。
しかし、相続税に詳しい税理士はほんの一握りです。
受取人の変更という手続き1つで、予期せぬ税金を避けることができる。
肝心なのは、相続税のプロの税理士に相談すること。
相続税に詳しい税理士は、贈与税にも詳しいです。
このブログで取り上げた贈与税の配偶者控除ですが、納税を避ける税額は莫大です。
したがって、プロの税理士に相談したり依頼することは、必須といえます。
相続税のプロの税理士に関するブログもあります、参考になると嬉しいです。
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まとめ
このブログがきっかけで、節税できることを祈念いたします。
なお、お困りのことがありましたら、お気軽に問い合わせてください。
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