相続税の節税対策を封じる増税(税制改正)!
令和5年度の税制改正の骨子(案)が発表されました。
※12月15日(木)発表、同23日(金)の閣議決定。
2年前に見直すことが公表されていた贈与税では、次の改正が発表されました。
- 相続前3年内加算を7年に延長
- 相続時精算課税で110万円控除
現状は、改正案にすぎません。
改正法案は、令和5年1月開会の、通常国会で審議されることになります。
そして、例年どおりであれば、3月下旬に成立するという流れ。
なお、自民公明両党の議席数から、改正案どおりの成立が見込まれます。
このブログでは、改正案の中身を取り上げてみます。
相続前3年間の贈与は相続加算
改正前の現在の制度は、相続開始前3年間の贈与を、相続財産に加算します。

例えば、父親(被相続人)から長男に対する贈与は、亡くなった日から遡って3年間の贈与金額を、父親の相続財産に加算して相続税を計算します。
これは、父親の相続財産を、生前贈与で減らすという、駆け込みの節税対策を封じる制度。
専門的には、「3年内加算」と呼んでいます。
そのポイントは次のとおり。
- 相続や遺言で相続財産を取得した人が
- 死亡から遡って丸3年内に受けた贈与金額を相続財産に加算し
- 支払った贈与税は相続税から控除する
事例の家族構成では、お母様と長男に対する贈与が対象です。
ただし、相続財産を取得した場合に限られます。
推定相続人以外への贈与は対象外
設例では、
- 長男の配偶者
- 孫
が、父親の養子ではなく、かつ、遺言で相続財産を取得していなければ、父親からの贈与は、例え3年以内であっても加算しません。
改正(案)は前7年間の贈与加算
閣議決定された改正案では、相続開始前7年間の贈与を、相続財産に加算します。
ポイントは以下の点です。
- 相続や遺言で相続財産を取得した人が
- 死亡から遡って丸7年以内に受けた贈与金額を相続財産に加算し
- 前4年~前7年の贈与金額の合計から100万円控除する
- 支払った贈与税は相続税から控除する
- 令和6年1月1日以後の贈与から適用
重要な点は、過去に遡及しないことです。
したがって、前7年になるのは、早くても令和12年からになります。
例えば、令和6年1月1日の贈与で、贈与者が令和12年1月2日に死亡すると、令和6年1月2日で前6年。
前7年加算なので、令和6年1月1日の贈与も加算対象になります。
さらに、遺言で相続財産を取得しない、推定相続人以外に対する贈与、具体的には、長男の配偶者及び孫に対する贈与は、加算しないこと。
この点は、改正前の現在の制度と同じです。
相続税の節税対策
改正案のとおり改正された場合、相続税を節税する方策は?
- 令和5年の贈与
- 長男の配偶者と養子縁組
- 養子でない長男の配偶者と孫へ早期に贈与
いずれにしろ、相続税の節税対策の再考が必要になります。
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目次・相続税の節税対策に関するブログを検索しやすく、注意点も説明
目次・【暦年贈与】に関するブログを検索しやすく、相続税の節税対策
贈与税の暦年課税の見直しの対抗策と相続税の節税対策を整理しました
相続税のプロの税理士へ
相続前3年内加算が、前7年内加算へ改正される案(税制改正大綱)を取り上げました。
端的には増税で、相続税の節税対策の変更を伴います。
いずれにしても、その道のプロ・詳しい税理士に相談しましょう。
なお、本当に詳しい税理士、いわゆるプロの税理士が少ないのが実態です。
税理士は、全国に約8万人もいます。
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【併せて読みたいブログ】
目次・【相続税の税理士】に関するブログを検索、相続税の税理士選び
まとめ
このブログでは、前3年内贈与加算の改正案(改正後は相続前7年内加算)を取り上げました。
このブログを書いている時点では、改正法案の国会提出前、国会の開会前ですから、将来は分からないというのが正確です。
しかし、国会の情勢や過去の税制改正などを踏まえると、改正案どおりの決着が見込まれると思われます。
このブログが、ご主人の参考になると嬉しいです。
なお、お困りのことがありましたら、お気軽に問い合わせてください。
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