令和5年度の税制改正の骨子(案)が発表されました。
※12月15日(木)発表、同23日(金)に閣議決定。
2年前に見直すことが公表されていた贈与税では、次の改正が発表されました。
- 相続前3年内加算を7年に延長
- 相続時精算課税で110万円控除
現状は、改正案の段階です。
令和5年1月開会の通常国会で審議され、例年どおりであれば、3月下旬に成立するという流れ。
なお、自民公明両党の議席数から、改正案どおりの成立が見込まれます。
このブログでは、②の相続時精算課税の改正(案)を取り上げます。
今回の改正は、相続税の節税対策にも影響がありますので、国会審議には注目していただきたいです。
①の相続前3年内加算を7年に延長は、ブログを書きました。
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相続時精算課税で110万円控除
現状(改正前)は、相続時精算課税には基礎控除(110万円)がありません。
贈与税の課税体系には、次の2種類があります。
- 暦年課税
- 相続時精算課税
①の暦年課税では、1年ごとに110万円の基礎控除があります。
これに対して、②の相続時精算課税では、基礎控除がありませんでした。
相続時精算課税の中身は、
- 60歳以上の父母・祖父母から
- 18歳以上の子供・孫に対する贈与
- 累計2,500万円まで贈与税が無税
- 2年目以降、110万円の基礎控除がないため、少額でも期限内申告で相続時精算課税を受けることが必要
- 110万円の暦年課税に戻れない
- 2,500万円を超えると一律20%の贈与税
- 贈与者の相続財産に加算して精算する
- ⑥で納めた贈与税の還付もある
今回の改正案では、④部分を改正して、110万円の基礎控除を認めるというものです。
2年目以降の贈与金額が、少額(110万円以下)であれば、贈与税の申告が不要、かつ、無税になります。
しかも、⑦の相続時の精算では、110万円の基礎控除後の金額を、贈与者の相続財産に加算することになります。
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令和6年1月以降の贈与から適用
改正案は、令和6年1月1日の贈与からの適用になります。
このため、令和5年末までの贈与では、改正前の制度になります。
つまり、
- 110万円の基礎控除がない
- 2年目以降は少額でも期限内申告
- 相続時は、少額部分も相続財産に加算
いずれにしても、改正案の段階なので、今後の成り行き・国会審議の行方に要注目です。
まとめ
このブログでは、税制改正の情報を書いてきました。
贈与税の改正の内、相続時精算課税の改正案。
現状は、法案の国会提出前でもあり、未確定情報ですから、要注目といったところです。
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