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相続税の申告の仕方と協議検討すべき事柄や注意すべき点まで詳しく!

相続税の申告書
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ご主人の相続税の申告の仕方などについて、ざっと概要を説明します

普通は10か月以内というのが申告期限ですが、やることはたくさんあります。

参考になれば嬉しいです。


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相続開始がスタート

ご主人の死亡によって相続が開始します。

※相続の開始の時期については、船舶の沈没など特殊な場合の判定がありますが、ここでは省略します。


相続開始から10か月(※)がゴールで、それまでに相続税の申告書を提出し納税します。

※申告期限が10か月以内でないことがあります。

例えば、納税管理人の届出をしないで出国する場合には、出国する日が申告期限になります(相続税法27条1項カッコ書き)。

また、申告すべき者が申告しないで10か月以内に死亡したケースでは、申告すべき者の相続人が、その死亡した日の翌日から10か月以内に申告することになります(相続税法27条2項)。




3か月以内の手続き

相続開始から3か月以内にすべき手続きが2つあります。

  1. 相続放棄
  2. 限定承認


いずれも、ご主人の相続財産を上回るような多額の債務がある(想定される)ケースです。

なお、相続放棄では、次順位の相続人にも連絡して同時に放棄するようにしましょう。

(注)生命保険金を受け取る人は、相続放棄すると生命保険金の非課税規定を受けられないので注意が必要です。

また、限定承認では、ご主人の不動産について、譲渡所得(所得税)が発生しますので要注意です。




相続税のプロの税理士に依頼

理想的にはこのあたりで、相続税に詳しい税理士に依頼しましょう。

税理士に対して、相続税はもちろんですが、4か月以内の所得税と消費税の準確定申告や、相続税の節税策の相談、納付すべき相続税の対応・工面までも相談したいものです。

なお、相続税のプロの税理士は、意外にも少数です。

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4か月以内の手続き

亡くなった年の1月からの収入や所得、例えば給与、年金やアパート収入などに対する所得税を計算します。

その結果、納税になる場合や還付になるケースでは、亡くなってから4か月以内に準確定申告書を提出して納税します。

同様に、個人事業者の消費税についても、4か月以内の申告と納税が必要になります。

※納税になる場合には4か月以内という期限がありますが、還付になるケースは4か月を過ぎても問題ありません。

なお、納付する所得税や消費税は、相続税の計算で債務控除できます。

逆に、還付になる所得税と消費税は、相続財産に加算します。





財産や債務の把握

ご主人に多額の債務がないケースでは、相続放棄や限定承認といった手続きは不要です。

その場合、遺産分割や相続税の申告に向けて、

  1. 遺言の有無の確認
  2. 相続人の確認
  3. 相続財産と債務の確認

を進めます。


【遺言】

遺言があった場合、それが自筆証書遺言のケースでは開封せず、家庭裁判所の検認を受けます。これは、内容の書き換えや破棄を防ぐものです。

ただし、公正証書遺言はこれらの不正行為ができないため、検認は不要です。


【相続人の確認】

多くの場合、相続人が誰かは、家族内のことでもありはっきりしています。

しかし、家族の知らない相続人が絶対にいないとは限りません。

このことから、不動産の登記や預貯金の解約・名義変更に際しては、相続人を確認する必要があります。

そのために、ご主人の出生から死亡までの除籍謄本、改製原戸籍謄本を収集することが必要になります。

なお、相続人の最新の戸籍謄本も必要になります(相続人の現存証明)。


【相続財産と債務の確認】

不動産、預貯金や有価証券などの財産を確認するほか、債務や未払金を確認します。

具体的には、ご主人が使用していたご自宅の部屋、普段使いの金庫などを確認するほか、銀行の貸金庫の利用がある場合には、開扉して内容物をチェックします。

ご主人の財産の確認では、次のようなものが考えられます。

  • 利用していた金融機関
  •   〃   証券会社
  • 土地建物の権利証
  • 固定資産税の通知書
  • 生命保険の保険証
  • 貴金属などの有無
  • 絵画や骨董品など


なお、銀行や証券会社の取引がある場合には、相続開始日現在の残高証明書の発行を請求しましょう。

また、定期性の預貯金については、相続開始日に解約した場合の受取額の計算を依頼しましょう。

※「残高証明書」は、遺産分割をスムーズにする意味合いがあります。

それは、同居してない相続人に明示して、無用の誤解を避けるというものです。

なお、遺産分割では無くても問題ありませんし、相続税の申告書に添付する義務もありません。




不動産などの評価

確認された相続財産のうち、評価が必要なものについては評価を行います。

※「評価」とは、金銭に見積もること。

具体的には、土地や建物、株式、定期預金、定額貯金、美術品、書画骨董などです。


土地】

市街地にある土地は、路線価で計算します。

路線価とは、道路(路線)に表示した値段(路線価)のことで、1㎡当たり千円単位の金額が表示されています。

例えば、「300」なら300,000円/㎡ということになります。

※路線価は、国税庁のホームページ財産評価基準書路線価図・評価倍率表で確認できます。



路線価は毎年公表されていますので、亡くなった年の路線価で計算します。

路線価は毎年7月初めに公表されます。

したがって、6月以前で公表前の場合には前年の路線価で仮計算しましょう。

そのうえで、7月以降にその年の路線価を確認して、変更があれば再計算します。


【路線価の確認方法】

  1. 評価する土地が所在する地図上の「都道府県」をクリック
  2. 1土地関係の「路線価図」をクリック
  3. 該当する「市区町村」をクリック
  4. 地名(町又は大字)から、5桁の「路線価図ページ番号」をクリック
  5. 表示された路線価図を拡大し、評価する土地が接道する道路(路線)を探します。なお、上下左右の路線価図に移動する場合には、左欄外の接続図の「ページ番号」をクリック


なお、路線価の地域にない土地については、固定資産税評価額に倍率を乗じて計算します。

その際に使用する倍率も、国税庁のホームページで確認できます。


【建物】

固定資産税評価額に倍率を乗じて計算します。

自宅のなどの権利関係のない建物は、固定資産税評価額×1.0倍です。

なお、アパートなどの貸家は、借家権割合を控除して×0.7で評価します。


【株式やその他の財産】

財産評価基本通達の定めにより評価します。



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名義預金(借名預金)

ご主人に帰属するご主人以外の名義を使った(借りた)預金。

このうち、家族の名義なら家族名義預金とも呼びます。

例えば、ご主人の預金から500万円が出金された当日に、子供の名義で預入された250万円の定期預金2口。

しかも、定期預金証書や通帳と印鑑をご主人が所持し、かつ、名義人の子供がその存在を知らないというケース。

考えられるのは、ご主人が子供さんに贈与しようとしたが、何らかの理由で渡さなかったもの。

もちろん、名義を借りただけですから、ご主人の財産になります。

なお、名義人が預金の存在を知っている場合であっても、預金通帳や証書、キャッシュカード及び届出印鑑の全てをご主人が管理しているケースでは、名義人は自由に払い戻しや解約ができませんので、ご主人の相続財産になります。

これは起こりがちですが、確認しようとする時にご主人がいません。

  1. 証書や通帳、印鑑の保管状況
  2. 名義人が知っていたかどうか
  3. 贈与税の申告の有無

これらの状況から、真実の所有者を推定することになります。


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債務の確認

銀行ローンが残っている場合には、銀行に確認すれば利息を含めて金額を特定できるでしょう。

なお、相続税の計算では、未払金も債務として計上できます。

具体的には次のようなものです。

  • 病院の未払金
  • 固定資産税の未払分
  • 公共料金その他の未払金




葬式費用

葬式費用は、ご主人が支払うものではありません。

しかし、遺族からすると、その金額分は相続財産が少なくなります。

葬式費用として、相続財産から控除できる範囲は次のものです。

  • お通夜告別式の費用
  • お布施・戒名料など

反対に、次の費用は葬式費用に含めれません。

  • 香典返し
  • 繰り上げ法要
  • 初七日、四十九日法要

なお、香典は相続財産に加算しません。


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生命保険金

ご主人の死亡に伴い支払われる生命保険金のうち、保険料の負担者がご主人のものは相続財産とみなされます。

この生命保険金には非課税規定があります。

【計算式】

500万円×法定相続人数=非課税金額(枠)

保険金の受取人が相続人で、3か月以内の相続放棄をしていなければ、非課税を利用できます。

(注)相続放棄をした相続人には、非課税規定が適用できません。

具体的には、相続税法12条1項5号で「相続人の取得した・・・保険金・・」と規定しているためで、3か月以内の相続放棄をすると、相続人でなくなるためです。


【保険料負担者がご主人以外】

保険料負担者と保険金受取人が同一の場合は、一時所得。

異なる場合には、保険料負担者から保険金受取人への贈与になります。


【生命保険の権利】

ご主人が保険料を負担していて、被保険者がご主人以外のケース。

この場合は、生命保険の権利がご主人の相続財産になります。

計算は、死亡日の解約返戻金になります。


生命保険金



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相続人の確認と戸籍謄本の収集

ご主人の出生から死亡までの戸籍謄本を収集します。

これにより、相続人を確認できます。


【法定相続情報一覧図】

従来は、銀行などの金融機関や相続税の申告書に、戸籍謄本を提出する必要がありました。

しかし、平成29年5月29日から、法務局(登記所)が法定相続情報を証明してくれることになりました。


この証明制度では、次のものを法務局に提出します。

  1. ご主人の出生から死亡までの戸籍(除籍)謄本
  2. ご主人の住民票の除票
  3. 相続人全員の現在の戸籍謄(抄)本
  4. 申出人の住民票
  5. 作成した法定相続情報一覧図
  6. 一覧図に住所を表示する人の住民票

法務局では、相続情報を確認し、「法定相続情報一覧図」の内容に相違ないとする証明書を無料で発行してくれます。

これにより、銀行などに対する提出書類が簡便になりました。

また、平成30年4月からは、相続税の申告に利用できるようになりました。




同族会社の確認

ご主人が同族会社の株主などであれば、株式の保有状況などと会社との貸借関係を確認します。

  1. 株式の有無と評価
  2. 名義株の有無
  3. 貸付金、借入金の有無
  4. 退職金の有無
  5. 弔慰金の有無




生前贈与の確認

ご主人と子供さん、つまり家族間では生前贈与は起こりがちです。

  1. 生前贈与
  2. お孫さんの教育費の支援
  3. 生活費の支援
  4. 住宅取得等資金の援助
  5. 教育資金の一括贈与
  6. 結婚子育て資金の一括贈与
  7. 相続時精算課税を適用した贈与


これらの贈与の有無、時期と金額を確認する必要があります。

このうち①、⑤、⑥と⑦は相続税に影響します。


※①生前贈与

相続開始前3年内贈与あれば相続財産に加算します。

なお、令和5年度の改正で、令和6年1月からは前7年になりました。


※⑤教育資金の一括贈与

贈与者が死亡時点の管理残額は、相続税の対象になることがあります。

なお、子供や孫が23歳未満である場合等で対象外のケースがあります。


※⑥結婚子育て資金の一括贈与

贈与者が死亡時点の管理残額は、相続税の対象になります。


※⑦相続時精算課税を適用した贈与

これは、贈与の時期にかかわらず相続財産に加算します。

なお、新たに110万円の基礎控除が創設され、110万円までの金額は精算の対象から除かれました。これは令和5年度の改正で、令和6年1月から適用されます。


【参考】

相続税に影響を与えない②~④についても、生計の資本としての贈与であり、相続人間の遺産分割では考慮すべきものになります。




遺産分割と遺産分割協議書の作成

ご主人の相続財産が出揃ったら、相続人間で話し合いを行って遺産を分割します。

遺産が円満に分割されれば、遺産分割協議書を作成して相続人が署名捺印します。

その際の印鑑は登録している印鑑、つまり実印で印鑑証明書原本を添付します。


遺産分割に関しては、次のポイントと注意点がります。

このうち、②と③については、原則として10か月以内に相続して申告することが求められます。

そのため、早期の遺産分割が欠かせません。

なお、相続したことを証明する書類としては、次の④~⑥を申告書に添付します。

  1. 未成年者は特別代理人の選任
  2. 配偶者の相続税額の軽減
  3. 小規模宅地等の特例
  4. 遺産分割協議書(写しでOK)
  5. 相続人全員の印鑑証明書原本
  6. 戸籍謄本(被相続人及び相続人)


【未成年者】

相続人の中に未成年者がいるケースでは、家庭裁判所で選任された特別代理人が遺産分割を代理します。つまり、未成年者の親も相続人の場合には、親権者と未成年者は互いの利益が相反することになるため代理できません。


【配偶者の相続税額の軽減】

被相続人の配偶者は、法定相続分(最低保証1億6,000万円)までは相続税が無税という特例があります。この特例を受けるためには、原則として申告期限である10か月以内に相続して申告する必要があります。


【小規模宅地等の特例】

被相続人の居住用、事業用、同族会社事業用や貸付用などの利用状況に応じ、申告額を減額できる特例です。このうち、例えば被相続人の居住用であれば、330㎡(100坪)まで20%にできます。

つまり、▲80%という多額の減額ですが、配偶者が相続する場合には無条件、同居していた相続人の場合には申告期限までの居住継続と保有継続要件があります。さらに、配偶者と同居相続人がいないケースでは、家なき子と呼ばれる借家住まいの相続人に限られ、保有継続要件が加わります。

いずれにしても、10か月以内の申告が原則です。




相続税の期限内申告

相続開始から10か月が申告の期限です(※)。

申告書の提出先は、ご主人の住所を管轄する税務署です。

相続人の住所ではないので注意しましょう。

多くの場合相続人が連名で申告します。しかし、個別に申告することは差し支えありません。

10か月の期限は、納税の期限でもあります。

一時に納付することができない場合には、延納という年賦の制度があります。

その手続きは、期限内申告書に延納申請書を添付します。


なお、申告書には相続人のマイナンバーを記入し、マイナンバーカードの裏表の写しなどを添付します。


※申告期限が10か月以内ではないことがあります。

例えば、納税管理人の届出をしないで出国する場合には、出国する日が申告期限になります(相続税法27条1項カッコ書き)。

また、申告すべき人が申告しないで10か月以内に死亡したケースでは、申告すべき人の相続人が、その死亡した日の翌日から10か月以内に申告することになります(相続税法27条2項)。





書面添付制度

これは、関与税理士が申告書の作成に当たって確認した内容を記入した書面を作成し、申告書に添付するものです。


書面添付された申告に対する税務調査では、書面の内容について事前に関与税理士にヒアリングすることになっています。

このヒアリングによって税務調査の確認事項が解明された場合、税務調査は省略されます。

つまり、税務調査を減らすことが期待される制度です。




まとめ

相続税の申告の仕方について、項目ごとに見てきました。

細かい内容については関連ブログをご覧いただきたいのですが、相続開始から10か月以内の申告までの概要をかいつまんで説明しました。

このブログの内容が、少しでもご参考になれば幸いです。

なお、お困りのことがありましたら、気軽に問い合わせてください


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    こんにちは、札幌市在住の税理士の鎌田浩司と申します。 私は相続税、贈与税、譲渡所得などの所得税及び消費税が専門の税理士です。8年前に国税の職場を定年退職して、税理士にWEBライターにと孤軍奮闘中です。 このブログでは、相続税・贈与税・譲渡所得などにお困りの皆様の、参考になると思われる情報を発信しています。 現役の税理士ならではの情報が、皆様のご参考になれば幸いです。