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相続税の非課税財産には何がある?節税対策と注意点!まで説明します

仏壇・非課税
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相続税がかからないもの、それが非課税財産です。


相続税は、被相続人のほとんどの財産が課税対象です。

しかし、相続人の心情への配慮やその性質などから、課税対象にならないものがあります。

このブログでは、相続税専門の税理士が、非課税財産を取り上げて説明します。

なお、相続税を考える際、節税対策を検討する際や相続が発生した際には、その道のプロに相談されることを強くお勧めします。




非課税財産

非課税財産は次のとおりです。(※)

  1. 皇位とともに皇嗣が受けた三種の神器
  2. 墓地、墓石、これらの土地、お稲荷さん、神棚、神体、神具、仏壇、位牌、仏像、仏具、古墳など
  3. 社会福祉事業や学校を設置し運営する事業を行う人が取得した財産で、公益事業の用に供することが確実なもの
  4. 心身障害者共済制度に基づく給付金の受給権
  5. 生命保険金の一定額(500万円×法定相続人数)
  6. 退職手当金の一定額(500万円×法定相続人数)
  7. 相続財産などを申告期限までに国などに寄附した場合の寄付した財産
  8. 相続財産などを申告期限までに特定公益信託の信託財産に支出した金銭
  9. 相続税の申告期限前に災害により被害を受けた相続財産など


※1~6は、相続税法12条1項1号~6号

※7は、租税特別措置法70条1項

※8は、租税特別措置法70条3項

※9は、災害減免法6条



相続税の節税や注意点

非課税財産の5(生命保険金)・6(退職手当金)は、法定相続人の人数で非課税金額が決まります。

どちらも同じ金額ですが、計算式は次のとおりです。

 500万円×法定相続人数=非課税金額


節税対策として次のものが有効です。

  1. 養子縁組で法定相続人を増やす
  2. 一時払いで終身保険に加入する
  3. 仏壇などの非課税財産を購入する



★節税対策~養子縁組

◎法定相続人の増加

非課税金額が増えるだけでなくて基礎控除も増えます。

具体的には、お孫さんなどを養子にすることで法定相続人を増やせます。

これにより、生命保険金の非課税金額や、退職手当金の非課税金額と基礎控除も増えます。


さらに、税率が下がる場合があります。

以下の設例では、基礎控除が600万円増えるとともに、子供と養子に対する税率が、15%➡10%下がっています。


◎相続税の税率

相続税の税率は、超過累進という階段状の構造になっています。

相続税の計算はちょっと複雑で、2段階で計算します。


◎設例に基づく具体例

家族構成が図のとおりで、相続財産が1憶800万円だったとします。

この設例の場合を、具体的に説明します。


(節税対策~養子縁組

法定相続人は、奥様に長男と次男で3人。

すると、基礎控除は4,800万円。

3,000万円+600万円×3人=4,800万円

相続税の計算は、相続財産から基礎控除を差引いて残額を法定相続分で分配します。

 1億800万円-4,800万円=6,000万円

 奥様 6,000万円×1/2=3,000万円

 長男 6,000万円×1/4=1,500万円

 次男   同様に    1,500万円

その金額に税率を掛けて算出した税額を一旦合計します。

この金額を相続税の総額と呼び、相続人全員が負担する相続税の合計になります。

奥様 3,000万円×15%-50万円=400万円

長男 1,500万円×15%-50万円=175万円

次男   同様に         175万円

  相続税の総額は、750万円です。  


この金額を相続税の総額と呼び、相続人全員が負担する相続税の合計になります。

実際に納付する相続税の額は、相続税の総額を各人ごとの取得財産の金額の割合で按分して算出した金額から、贈与税額控除などの控除を差引いた残額になります。


(節税対策~養子縁組

法定相続人は奥様、長男、次男と養子で4人。

すると、基礎控除は5,400万円。

3,000万円+600万円×4人=5,400万円

相続税の計算は、相続財産から基礎控除を差引いて残額を法定相続分で分配します。

 1億800万円-5,400万円=5,400万円

 奥様 5,400万円×1/2=2,700万円

 長男 5,400万円×1/6= 900万円

 次男   同様に    900万円

 養子   同様に    900万円

その金額に税率を掛けて算出した税額を一旦合計します。

この金額を相続税の総額と呼び、相続人全員が負担する相続税の合計になります。

奥様 2,700万円×15%-50万円=355万円

長男  900万円×10%     = 90万円

次男   同様に         90万円

養子   同様に         90万円

  相続税の総額は、625万円です。



◎注意点

⑴養子縁組の方法による節税対策では、相続人全員の合意が不可欠です。

設例のケースで説明します。

孫Cは養子になることで、子供と同額の相続分を主張できるようになります。

法定相続分以外にも、法定相続分の1/2ではありますが、遺留分という権限も発生します。

いずれにしても、長男や次男の相続分が減少したり、分割協議自体がスムーズにまとまらないことが十分に起こり得ます。


⑵設例のケースでは、お孫さんは他にDEFと3人います。

つまり、DEFには何らの相続権がないため、不平不満を買う恐れがあります。

DEFには民法的に権限がありませんが、家族全体として将来的な火種を残す危険を内蔵しています。


★節税対策~終身保険に加入

終身保険に加入して保険料を一時払いすると、現金や預貯金を減らせます。

その分、相続税の課税対象金額が減ることにより、節税になります。

具体的な事例に基づく説明は、関連ブログをご覧ください。


◎注意点

⑴保険の加入の仕方によっては、相続税ではなくて贈与税になることもあります。

⑵相続放棄すると非課税を適用できなくなります。

これらの注意点も、関連ブログをご覧ください。


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目次・生命保険金の相続税に関するブログを検索、非課税や注意点など



★節税対策~ 非課税財産の購入

仏壇や仏具などの非課税財産を購入すると、現金や預貯金が減少して相続税が節税できます。


◎注意点

行き過ぎた節税策は、国税当局から否認されるリスクが高くなります。

高額な仏壇や仏具、例えば純金製の仏具などを購入すると、その節税効果は絶大です。

しかし、ほどほどにしないと是正を求められることが考えられます。

なお、金額基準はありませんが、ほどほどが肝心です。


⑵さらに、銀行借入金で非課税財産を購入することは危険です。

銀行借入金は、相続開始日に残高があっても債務控除できません

購入した財産が非課税であるため、その借入金の控除も不可になります。



まとめ

相続税の9種類の非課税財産を説明しました。

その上で、非課税財産を活用した節税対策とその注意点にも触れました。

当たり前のことですが、相続では財産の所有者がいません。

例えば、ご主人がお元気な時には、子供たちやそれぞれの配偶者が不満を漏らすことは通常ありません。

しかし、ご主人不在の状況では、ご主人という歯止めが無くなることで、混乱することが起こり得ます。


いわゆる争族を防止するコツは、生前の贈与などでの平等と、遺言などを活用した公平な相続への取組。

特に、家族全体での意思疎通と十分な話し合い合意を得ておくことが重要であるといえます。

また、こと税金・相続税に関しては、詳しい税理士にご相談されることが重要で、結果としてお得です。


最後までお読みいただきありがとうございます。

なお、お困りのことがございましたら、お気軽にお問い合わせてください。

★お問い合わせはこちらからお願いします。


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    こんにちは、札幌市在住の税理士の鎌田浩司と申します。 私は相続税、贈与税、譲渡所得などの所得税及び消費税が専門の税理士です。8年前に国税の職場を定年退職して、税理士にWEBライターにと孤軍奮闘中です。 このブログでは、相続税・贈与税・譲渡所得などにお困りの皆様の、参考になると思われる情報を発信しています。 現役の税理士ならではの情報が、皆様のご参考になれば幸いです。