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相続財産が基礎控除額を超えても、相続税がかからないケースとは?

相続税の申告
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前回の宿題、基礎控除を超える財産があっても、相続税がかからない場合とは?


前回は、生命保険金を受取った際の相続税を説明しました。

説明では、生命保険金の非課税枠があること。

そして、相続税には基礎控除があること。

この結果、生命保険金の非課税枠を超える金額を、その他の財産に加算して基礎控除を超えるかどうか。

ということでした。


さらに、基礎控除を超えても、直ちに相続税がかかるとは限らない。

相続税がかからない場合があると書きました。

今回は、ここの説明を書きます。





相続税がかからないケース

相続税がかからないケースは、算出される相続税の金額より税額控除の方が大きい場合です。


基礎控除を超えると、相続税が算出されます。

例えば、相続人が3人の場合の基礎控除額は、4,800万円です。

  3,000万円+600万円×3人=4,800万円

相続財産が6,000万円あれば、基礎控除を超える1,200万円に対して、120万円の相続税が算出されます。

  6,000万円ー4,800万円=1,200万円

  1,200万円×10%=120万円

※相続税の税率は、一律ではありません。

 このケースの場合には、10%です。


説明のため、家族構成を設定します。

被相続人Aの法定相続人は、妻B、長男C、次男Dの3人です。



相続税がかからない配偶者

配偶者が相続した財産が、1億6,000万円以内であれば、配偶者には相続税がかかりません。

設例の場合、相続財産の6,000万円全額を配偶者が相続するケースでは、配偶者に相続税はかかりません。

配偶者以外の相続人は、財産を相続しなければ相続税はかかりません。



子供で相続税がかからないケース

子供が未成年だったり障害者の場合には、控除額があります。

控除額が算出された相続税額より大きいか同じであれば、支払う相続税はありません。




税額控除とは?

相続税には6種類の税額控除があります。

税額控除は、文字どおり支払う相続税を減額します。

  1. 贈与税額控除
  2. 配偶者の税額軽減
  3. 未成年者控除
  4. 障害者控除
  5. 相次相続控除
  6. 外国税額控除




贈与税額控除とは?

贈与税額控除には2種類あります。


◎暦年課税分の贈与税額控除

相続税には、3年以内の贈与財産を相続財産に加算するという仕組みがあります。

相続開始(死亡)日から3年遡って、その間の贈与を相続税で計算し直すというものです。

加算される贈与が、贈与税を支払うものだった場合、相続税との二重課税になります。

このため、支払った贈与税自体を相続税から差引きます。

これが、暦年課税分の贈与税額控除です。


◎相続時精算課税分の贈与税額控除

60歳以上の親や祖父母から、18歳以上の子供や孫に対する贈与では、暦年課税の110万円控除ではなく、2,500万円まで贈与税がかからないという制度があります。

この制度は無条件ではなく、贈与者である親や祖父母が将来死亡した際に、贈与財産を相続財産に加算して、相続税で再計算する・精算するという仕組みになっています。

相続時精算課税で2,500万円を超える贈与を受けた場合は、2,500万円を超える金額に対して一律20%の贈与税がかかります。

そして、贈与財産が相続税の対象となると贈与税と相続税の二重課税になるため、相続税から課税された贈与税を差引くことになります。

これが相続時精算課税分の贈与税額控除です。



配偶者の税額軽減とは?

夫婦の一方が亡くなった際に、残された配偶者の内助の功に配慮して、相続税を軽減するものです。

日本の家族制度では、夫婦の婚姻期間中に形成された財産について、その帰属を夫婦で話し合う、又は取り決める、契約するという慣習がありません。

※アメリカでは、婚姻に際して夫婦財産契約を締結することが一般的とされます。

 これは、婚姻期間中に形成・増加した財産の帰属について、割合などを取り決めるものです。


従来の日本の家族は、夫が働きに出て妻が専業主婦になることが多く、夫の収入による財産は夫のものとされてきました。

つまり、家事労働に対する対価を支払わないというもので、そういった考え自体が希薄でした。


相続税では、夫の収入により形成・増加した財産について、妻の功績・内助の功に配慮するという制度があります。

それこそが、配偶者の税額軽減です。

※制度上、配偶者は妻に限らず夫の場合もあります。


◎ 配偶者の税額軽減の内容

配偶者は、法定相続分又は1億6,000万円のどちらか多い金額まで相続税が控除されます。


(注)相続開始から10ヶ月以内の相続税の申告は必要です。

  ※相続税法第19条の2、第3項



未成年者控除とは?

相続人が未成年者の場合、18歳に達するまでの1年につき、10万円を控除します。

これは、日本の社会保障制度の一環として設けられたものです。


(注)令和4年4月1日以後の相続から、18歳に引下げられました。



障害者控除とは?

相続人が障害者の場合、85歳に達するまでの1年につき、10万円を控除するというものです。

なお、特別障害者の場合には、1年につき、20万円の控除になります。

これも、未成年者控除と同じく、日本の社会保障制度の一環として設けられたものです。



相次相続控除とは?

10年以内に相続が2回以上発生した場合、税負担感に配慮して一定額の控除が受けられます。

被相続人が、10年以内の前回の相続で納めた相続税の一定額を、今回の相続人の相続税から控除します。



外国税額控除とは?

これは、外国の相続税との二重課税に配慮したものです。

外国にある財産を相続した場合で、その外国で相続税に相当する税金を負担した場合、一定の金額を控除するというものです。



まとめ

このブログでは、相続財産が相続税の基礎控除額を超えても、相続税がかからないケースを説明してきました。

注意点としては、10ヶ月以内の申告手続が必要な税額控除もあります。


他の税金と同様に、相続税の仕組みは複雑で、分かりづらくなっています。

このため、お困りのことがございましたら、お気軽に問い合わせてください。


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    kouji
    こんにちは、札幌市在住の税理士の鎌田浩司と申します。 私は相続税、贈与税、譲渡所得などの所得税及び消費税が専門の税理士です。8年前に国税の職場を定年退職して、税理士にWEBライターにと孤軍奮闘中です。 このブログでは、相続税・贈与税・譲渡所得などにお困りの皆様の、参考になると思われる情報を発信しています。 現役の税理士ならではの情報が、皆様のご参考になれば幸いです。