相続税を減らしたいと考えるのは自然なことです。
このブログでも、相続税の節税対策を取り上げて説明しています。
そこでは、相続税が専門のプロの税理士として、具体的な節税方法と合わせて注意点なども取り上げています。
今回は、行き過ぎた節税が危険であることを改めて説明します。
相続税の増税
相続税を巡る最近の増税の動きは次のとおりです。
- 平成27年から基礎控除の引き下げなど
- 令和5年から(?)の贈与税の暦年課税の廃止?
平成27年から増税では、約12人に1人が相続税の対象になっています。
逆に言うと11人は課税されていないわけですが、それでも、ごく一部の資産家だけだった相続税が、一般の人も払うものになりました。
この増税の反響はすごくて、週刊誌や新聞からテレビまで、幾度となく取り上げられました。
そして、増税の報道の後には、当然のように節税策も取り上げられ注目されました。
増税の第2弾は令和2年12月の税制改正で、贈与税の暦年課税の廃止の議論が公表されました。
これは、今のところ具体的な改正の動きが無く、詳細も不明なのですが、早ければ令和5年からになりそうです。
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相続税のプロの節税対策
私は、相続税のプロです。
相続税や贈与税が専門の税理士です。
そんな私も、このブログで相続税の節税対策を取り上げて説明しています。
相続税にも、法律に反しない、したがって合法な節税対策があることを取り上げて説明しています。
節税対策の内容は他のブログに書きました。
そして、今回改めて強調したいことは、行き過ぎた節税策が危険であること、つまり、国税当局から否認されるということです。
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行き過ぎた節税策とは
節税したいという気持ちは誰にでもあることでしょう。
税理士の立場としては、次のように説明してます。
- 税金は正しく払いましょう
- 余分に払うことはありません
それでは、行き過ぎた節税策とはどのようなものでしょうか?
実際に裁判となり、法廷で争われた事例を紹介します。
この事例は、死亡の直前に多額の銀行ローンで不動産を購入。
不動産を、路線価等の通達評価額で申告し、ローンの残高を債務控除した事案です。
この節税対策が無ければ、相続税の課税価格が約6億円でした。
しかし、申告した課税価格は約2,800万円であり、相続税はゼロ円でした。
10億5,500万円のローンを組んで、13億8,700万円の不動産を購入。
申告は、わずか3億3,366万円。
申告額は購入金額の約1/4という内容で、誰が見ても行き過ぎやり過ぎは明らかです。
相続税の計算では、土地は路線価で評価します。
これは、評価通達による評価です。
ではなぜ、評価通達による、つまり路線価による申告が国税当局から否認されたのでしょうか。
それは、評価通達には6項という天下の宝刀があるためです。
【6項】
この通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の価額は、国税庁長官の指示を受けて評価する。(※)
※出典
なお、国税当局は、不動産鑑定士による鑑定評価額で課税して裁判となったようです。
◎ 金額比較

【判決日など】
1審;東京地方裁判所、令和元年8月27日判決
2審;東京高等裁判所、令和2年6月24日判決
いずれも、納税者側が敗訴しています。
なお、最高裁判所に上告したようです(結果は不明です)。
【出典】
TAINS;Z888-2346
相続税のプロの税理士へ
相続税のことはその道のプロ、詳しい税理士に相談しましょう。
相続税はかなり特殊な税金です。
加えて、本当に詳しい税理士、いわゆるプロの税理士が実は少ないのが実際のところです。
税理士は、全国に約8万人もいます。
しかし、相続税に詳しい税理士はほんの一握りです。
予期せぬ税金がかからないように、相続税のプロの税理士にご相談ください。
このブログで取り上げた事例は、行き過ぎた相続税の節税対策でした。
節税策が多額であったために、国税当局から否認された金額も高額、余分に納める加算税なども多額になったはずです。
したがって、プロの税理士に相談したり依頼することは、必須といえます。
なお、相続税のプロの税理士に関するブログもあります、参考になると嬉しいです。
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まとめ
税金はできるだけ少なくしたい。
これは人情で、悪いことではないでしょう。
したがって、上手に節税対策に取り組むことは、むしろお勧めしています。
しかし、何事もほどほどが肝腎です。
行き過ぎたら、やり過ぎたらすべてがアウトになってしまいます。
このブログがきっかけで、上手に節税できることを祈念いたします。
なお、お困りのことがありましたら、お気軽に問い合わせてください。
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