譲渡所得の特例を取り上げます。
譲渡所得は、収入から原価を引いて計算します。
(計算式)
この計算で、利益が出れば税金がかかります。
しかし、損失となった場合では、給与や事業など他の所得から差し引くことができません。
※専門的には「損益通算」といいますが、これができないことになってます。
利益だけ課税して、損は考慮しないのは納得しずらい制度といえます。
この制度には例外があります。
それは、住宅を売却した場合の損失を、他の所得から差し引けるというもので、2種類あります。
このブログでは、現役の税理士が分かりやすく説明します。
2種類の特例
特例は2つあります。
どちらも住んでいる住宅を売った場合ですが、ローンが関係します。
- 10年以上のローンで新たに自宅買入
- 売ってもローンが残る
特例の計算内容としては、次の2つがあります。
損益通算~損失金額を売った年の給与などから差引く。
繰越控除~給与などから引ききれない損失金額を、翌年以後3年間の給与などから差引く。
10年以上のローンで新たに自宅買入
1つ目の特例は、10年以上の銀行ローンで新たに自宅を買入することが条件です(※1)。
加えて、次の細かい条件があります。
- 売却する人の居住用財産である(※2)
- 売却する家屋と敷地はとも長期所有
- 売却する自宅は日本国内限定
- 売却は贈与、出資以外
- 確定申告で特例の適用を受けること
また、買換える居住用財産は、
- 国内限定
- 自己の生活の本拠で、自己の居住用床面積が50㎡以上
- 買換える時期は、売却の前年1月1日~翌年の年末まで
- 自己が居住する期限は、買換えの翌年年末まで
- 買換えは贈与、代物弁済以外
- 買換えの年の年末に、10年以上のローンがあること
さらに、2年目以後の繰越控除の際に追加される条件があります。
- 売却する自宅の敷地500㎡以下に限定
- 繰越控除年の合計所得3,000万円以下
- 期限内申告で、その後も連続して申告
- 繰越控除年の年末に10年以上のローン
※1 特例の名称は、
「居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除」といい、根拠条文は租税特別措置法41条の5です。
※2 売却する人の居住用財産であることとは、
自宅の所有者の生活の本拠であることですが、その他にも細かい条件があり、別のブログに書きましたのでご覧ください。
【併せて読みたいブログ】
目次・譲渡所得【居住用の特例】に関するブログを検索、注意点や条件
売ってもローンが残る
2つ目の特例は、売却する自宅に売却価格を上回るローンが残っていたケース(※1)。
加えて、次の細かい条件があります。
- 売却する人の居住用財産である(※2)
- 売却する家屋と敷地はとも長期所有
- 売却する自宅は日本国内限定
- 売却契約日前日に10年以上のローン
- 売却は贈与、出資以外
- 確定申告で特例の適用を受けること
損益通算及び繰越控除の対象となる損失は、ローンの残高から売却価格を引いた金額が限度となります。
言い換えると、売却しても返済できなかったローンの金額が限度です。
さらに、2年目以後の繰越控除の際に追加される条件があります。
- 繰越控除年の合計所得が3,000万円以下
- 期限内申告、その後も連続して申告
※1 特例の名称は、
「特定の居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除」といい、根拠条文は租税特別措置法41条の5の2です。
※2 売却する人の居住用財産であることとは、
自宅の所有者の生活の本拠であることですが、その他にも細かい条件があり、別のブログに書きましたのでご覧ください。
【併せて読みたいブログ】
目次・譲渡所得【居住用の特例】に関するブログを検索、注意点や条件
譲渡所得に詳しい税理士へ
譲渡所得のことはその道のプロ、詳しい税理士に相談しましょう。
譲渡所得はちょっと特殊な税金です。
加えて、本当に詳しい税理士、いわゆるプロの税理士は多くありません。
税理士は、全国に約8万人もいます。
しかし、譲渡所得に詳しい税理士は、実は少ないのが現状です。
予期せぬ税金がかからないように、プロの税理士にご相談ください。
このブログで取り上げた、自宅の譲渡損失を給与などと相殺し、かつ、引ききれなかった金額は翌年以降3年間繰越控除できるという特例には、細かい条件があります。
特例を受けられるか否かで、多額の影響があります。
したがって、プロの税理士に相談したり依頼することは絶対です。
なお、税理士に関するブログもあります、参考になると嬉しいです。
【併せて読みたいブログ】
目次・税理士関連ブログを検索しやすく。選び方、報酬引下げetc
まとめ
このブログが参考になることを祈念いたします。
なお、お困りのことがありましたら、お気軽に問い合わせてください。
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