譲渡所得の計算方法を取り上げます。
2回目の今回は、原価(取得費)。
譲渡所得の計算は、他の所得などと同じで利益があるかどうかの計算です。
買ってから売るまでの期間の値上がりがあるかどうか?
1回目で取り上げた収入金額から、原価(取得費)を差し引けば値上がり利益が計算できます。
しかし、原価(取得費)には色々なものがありますので、それらをまとめて取り上げます。
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原価(取得費)になるもの
原価(取得費)になるものとならないものを一覧で取り上げます。
まずは、なるもの。
- 購入代金
- 購入(仲介)手数料
- 購入に際して支払った立退料、移転料(所基通38-11)
- 購入契約書に貼付した収入印紙代
- 登録免許税・手数料とも(所基通38-9)
- 不動産取得税(所基通38-9)
- 特別土地保有税(国税庁・質疑応答事例)
- 資産の取得後に加えた設備に要した費用
- 資産の取得後に加えた改良費用(宅地造成費、建物増改築費等)で、通常の修繕費以外のもの
- 取得に際して支払った固定資産税相当額
- 取得に関し争いのある資産につきその所有権を確保するために直接要した訴訟費用、和解費用など(完全な所有権の取得後生じたものを除く)(所基通38-2)
- 土地と共に取得した建物等の取壊し費用等(取得後おおむね1年以内に着手するなど、当初から土地のみを利用する目的であることが明らかである場合)(所基通38-1) ※ 建物の取得費も土地の取得費に算入する
- 借入金の利子等のうち、資金の借入日から使用開始日(使用しないで譲渡した場合は譲渡の日)までの期間に対応する部分の金額(所基通38-8~38-8の9) ※付随費用を含む
- 既に締結されている固定資産の取得契約を解除して、他の固定資産を取得することとした場合に支出する違約金(所基通38-9の3)
- 一括して購入した土地の一部を譲渡した場合の取得費。原則的には面積の比による取得価額の按分計算によるが、合理的な理由がある場合は譲渡時の時価の比でも差し支えない(所基通38-1の2)(国税庁・質疑応答事例)
- 借地権等の設定をした場合の譲渡所得に係る取得費(所基通38-4)
- 借地権等を消滅させた後、土地を譲渡した場合等の譲渡所得に係る取得費(所基通38-4の2)
- 底地を取得した後に土地を譲渡した場合等の譲渡所得に係る取得費(所基通38-4の3)
- 価値の減少に対する補償金等に係る取得費(所基通38-5)
- 財産分与、代償分割により取得した資産は、取得した時の時価額
- 借地権の取得費(所基通38-12)
- 治山工事等の費用(所基通38-13)
- 土石等の譲渡に係る取得費(所基通38-13の2)
- 借家権の取得費(所基通38-15)
- 非業務用資産の減価償却費相当額は旧定額法で計算(所法38②二、所令85①②、129)。具体的には、取得価額×0.9×定額法の償却率(耐用年数は1.5倍、端数切捨て)×経過年数(6か月以上は1年、6か月未満は切捨て)。取得価額の95%が限度(所基通38-9の2)。なお、業務の用に供されていた期間は、必要経費に算入される償却費の累計額を控除する。業務の用に供されていたものが業務の用に供されなくなってから譲渡した場合において、償却費の累計額が95%を超えるときは、減価償却費相当額は償却費の累計額。
- 相続財産を相続開始の日の翌日から3年10か月以内に譲渡した場合は、相続税の相当額を取得費に加算(措法39)
- 相続、贈与により取得した資産は、被相続人、贈与者の取得費を引き継ぐ(所法60①)
- 限定承認に係る相続・遺贈により取得した資産は、相続時の時価額(所法60④)
- 贈与、相続、遺贈で取得した際に支払った登記費用、不動産取得税、名義書換手数料(ゴルフ会員権、株式)など通常支払う費用(平成17年 所基通60-2追加)※平成17.2.1最高裁判決(敗訴)に基づき取扱い変更。(注)5%とは選択、業務用資産は除く。
- 配偶者居住権及び敷地利用権などの取得費(所法60②③、所令169の2①~⑦)
- 時価の1/2より低い価額で譲り受けた資産の取得費(所法60①二)
- 交換、代替、買換の特例の適用を受けた資産は、各特例で計算した引継ぎ額
- 水道設備負担金(上水道)は、15年の無形減価償却資産(水道施設利用権)
- マンションなどのように、土地と建物を一括で購入しているため建物の取得価額が不明の場合は、購入時の消費税額の逆算、又は「建物の標準的な建築価額表」により算出
原価(取得費)にならないもの
- 代償債務は、代償分割に係る相続により取得した資産の取得費に算入しない (相続税で控除)
- 相続した資産に係る遺産分割訴訟費用、弁護士費用
5%(概算取得費)
収入金額(譲渡価額・売却金額)の5%を、原価・取得費とすることができる(実際の原価・取得費とは有利な方を選択)。
※取得費が不明の場合又は収入金額の5%に満たない場合。
※本来は土地建物等の取得費の特例で、昭和27年12月31日以前から引き続き所有していた場合。
(注)
①昭和28年1月1日以後取得の土地建物等、短期譲渡所得も適用できる(措通31の4-1)。
また、土地建物等以外の資産にも適用できる(所基通38-16)。
②配偶者居住権又は敷地利用権についても適用できる(所基通60-5)。
③通常、取得費がないものとされる次のものは適用できません。
イ 土地の地表又は地中にある土石等
ロ 借家権又は漁業権等
プロの税理士へ
譲渡所得のことはその道のプロ、詳しい税理士に相談しましょう。
譲渡所得に本当に詳しい税理士いわゆるプロの税理士は、少ないのが実際のところです。
税理士は、全国に約8万人もいます。
しかし、譲渡所得に詳しい税理士はほんの一握りです。
予期せぬ税金がかからないように、プロの税理士にご相談ください。
このブログで取り上げた譲渡所得には多くの特例があります。
その中には、収用等の5,000万円や居住用の3,000万円など高額な特例があります。
特例を受けられるか否かで、多額な税金が発生します。
したがって、プロの税理士に相談したり依頼することは重要です。
税理士に関するブログもあります、参考になると嬉しいです。
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まとめ
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