このブログでは、相続税の節税対策を取り上げています。
相続税を巡る最近の議論は、次のような贈与税の暦年課税の見直しです。
- 暦年課税を相続時精算課税に一本化
- 3年内加算の期間延長
平成27年からの相続税の増税も影響が大きいものでしたが、今回の相続税の課税強化もかなりのインパクトがあります。
週刊誌などでは、相続税の節税対策の早期実施と見直しが、盛んに提案・報道されています。
このため、改めて相続税・贈与税の現状、予想される課税強化策と対抗策、当面の節税対策を整理してみます。
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当面の節税対策・対抗策
税制改正が令和5年度以降となり、現時点では改正内容が不明な状態です。
巷で噂されているのは、冒頭でも触れた2項目です。
- 暦年課税を相続時精算課税に一本化
- 3年内加算の期間延長
これに対抗する方策としては、次の3項目が考えられます。
(注)改正内容を予測した対抗策であり、あくまでも予想に基づくものとなります。
- 年間110万円までの贈与を早期に開始
- 少しでも多くの親族などに贈与
- 低率の贈与税を払って相続財産を減額
噂の制度改正とは?
現状の贈与税は、年間110万円までは贈与税が無税です。
このことを暦年課税と呼んでいます。
例えば、相続人3人に年間110万円まで贈与すると、330万円の財産を移せます。
これを10年繰り返せば、3,300万円の財産を移動することができるというものです。
ただし、死亡した日から3年遡った期間の贈与については、相続税の対象になります。
これを、前3年内贈与加算といいます。
(注)前3年内贈与加算の対象は、相続財産を取得した人だけです。
このように、110万円までの暦年贈与で相続税の対象財産を減らせますが、駆け込み贈与は許さないというのが現状の制度です。
★暦年課税を相続時精算課税に一本化とは?
現状でも、暦年課税以外に相続時精算課税という制度があります。
これは、60歳以上の父母・祖父母から、20歳以上の子供や孫に対する贈与は、2,500万円までの贈与が無税。
ただし、贈与者である父母・祖父母の相続財産に加算して、相続税で精算するというもの。
噂される改正では、110万円までの暦年課税が廃止されるのではないか?
つまり、生前の贈与はすべて相続税で精算するというものです。
★3年内加算の期間延長とは?
現状では、死亡直前3年内贈与が相続財産に加算されますが、この期間を10年位に延ばすことになるのではないか?
これにより、相続財産の減少を食い止めるというものです。
対抗策の中身
予想される改正・増税に対抗する方策は、次の3項目。
- 年間110万円までの贈与を早期に開始
- 少しでも多くの親族などに贈与
- 低率の贈与税を払って相続財産を減額
①年間110万円までの贈与を早期に開始
制度改正は、早くても令和5年度。
改正法案の成立は、例年では令和5年3月末が見込まれます。
今回のような増税・課税強化は、遡及して適用しないということが暗黙の了解事項。
不利益不遡及。
つまり、改正後の制度は、早くても令和5年4月以降の贈与からが見込まれます。
以上のことから、令和5年3月までに駆け込みで暦年贈与をしましょう。
(注)過去に不利益変更が遡及したことがあります。
ほとんど例がないのですが、遡及したことがあります。
私の知っているのは1度だけです。
現時点で不利益変更が遡及されたらお手上げです。
②少しでも多くの親族などに贈与
暦年贈与は、もらう側で1人年間110万円までが無税です。
このため、1人でも多くの人に贈与すれば、それだけ多くの財産を移転できます。
また、現状の前3年内贈与加算は、相続財産を取得する人への贈与が対象です(※)。
したがって、お孫さんとか甥姪など、通常は相続財産を取得しない人へも贈与することで、より多額の財産移転が可能になります。
※相続税法19条。
※相続財産を取得する人とは?
- 相続人が遺産分割で取得
- 遺言で取得(相続人に限らない)
- 贈与で相続時精算課税を受けた孫など
- 生命保険金の受取人(みなし相続)
③低率の贈与税を払って相続財産を減額
例えば、年間310万円までの贈与なら、贈与税の税率が10%です。
この場合の贈与税は、20万円。
(110万円控除後の200万円×10%=20万円)
見込まれる相続税の税率が、例えば、20%とか30%であれば、10%の贈与税を払ってでもより多額の贈与をして、財産を移転することが得策になります。
もちろん、普段の生活費など、贈与以外の様々な要素の検討は必須です。
相続税のプロの税理士へ
相続税のことは、その道のプロ、相続税に詳しい税理士に相談しましょう。
相続税はかなり特殊な税金といえます。
加えて、本当に詳しい税理士、いわゆるプロの税理士が実際には少ないこと。
税理士は、全国に約8万人もいます。
しかし、相続税に詳しい税理士はほんの一握りです。
予期せぬ税金がかからないように、相続税のプロの税理士にご相談ください。
このブログで取り上げた 贈与税の暦年課税の見直しに対する対抗策と当面の節税対策では、慎重な検討が重要で注意点もあります。
したがって、プロの税理士に相談したり依頼することは、必須といえます。
そこで、相続税が専門の税理士の探し方ですが、税理士紹介サイトの利用がお勧め。
一押しは税理士ドットコムです。
サイトの利用はもちろん無料です。
公式サイトは、

なお、相続税のプロの税理士に関するブログもあります。参考になると嬉しいです。
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まとめ
このブログで取り上げた、節税策や制度改正に対する対抗策は、改正内容によっては効果がなくなることも考えられます。
また、お孫さんや甥姪に対する贈与では、相続人とのバランスなど、総合的な配慮や検討がより重要になります。
さらに、贈与する側の生活費や老後資金の確保などの最優先事項もあります。
いずれにしても、家族会議を開いて十分に議論するなどにより、関係者の理解と合意を得るなど慎重に検討することが必要です。
このブログがきっかけで、節税できることを祈念いたします。
なお、お困りのことがありましたら、お気軽に問い合わせてください。
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