相続するのはプラスの財産とは限りません。
中には借金の方が多いケースもあります。
借金の方が多ければ相続を放棄すればよいのですが、まれに、借金の額がはっきりせず、相続放棄すべきかどうか悩ましい場合があります。
このブログでは、限定承認という相続の仕方を取り上げます。
少し珍しい言葉ですが、借金から身を守ってくれる手段です。
さらには、3か月以内という期限があり、不動産の譲渡所得が発生するなど、押さえておきたいポイントがあります。
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限定承認とは
相続の仕方には3とおりあります。
- 単純承認
- 相続放棄
- 限定承認
すべてを引き継ぐのが単純承認、その逆が相続放棄。
そして、プラスの財産の範囲で債務を承継するのが限定承認です。
判明している範囲では、プラスの財産の方が多い。
しかし、まだ債務がありそうというケース。
民法922条の条文は次のとおりです。
「相続人は、相続によって得た財産の限度においてのみ被相続人の債務及び遺贈を弁済すべきことを留保して、相続の承認をすることができる。」
限定承認は、被相続人の死後3か月以内に相続人全員で、家庭裁判所に申し出る必要があります。
期限と手続方法が決められているのは、債権者の立場を不安定にしないためと考えられています。
譲渡所得が発生
被相続人が土地や家屋を所有していたケースでは、死亡した時点の時価により譲渡したこととされ、譲渡所得が発生します。
※「みなし譲渡」所得税法59条1項。
そして、死亡から4か月以内に確定申告をする必要があります。
この申告を準確定申告と言います。
★制度の趣旨
被相続人に譲渡所得を課税・発生させるのは、相続人の保護が目的です。
被相続人の債務は、預貯金や不動産などのプラスの財産の範囲内で承継する。
つまり、相続人固有の財産からの債務返済を不要とするのが、限定承認の趣旨です。
土地や建物の被相続人の所有期間中の値上がり利益は、相続人に引継がれて相続人の譲渡の際に清算・課税されます。
しかし、これでは含み益に対する課税を相続人が引き継ぐことになり、限定承認の趣旨に合致しません。
このため、死亡時点までの値上がり利益を清算するものです。
そこで発生した所得税は被相続人の債務となり、他の債務と同様プラスの財産の範囲内での承継とされます。
債務超過であれば、課税されても超過部分が切り捨てられます。
相続税の課税
限定承認のケースでは、通常は相続税の基礎控除を下回るでしょう。
したがって、相続税の課税がなく、申告も不要となるでしょう。
プロの税理士へ
譲渡所得や相続税のことはその道のプロ、詳しい税理士に相談しましょう。
限定承認に係る課税関係は、かなり希なケースです。
このため、本当に詳しい税理士・プロの税理士は少ないでしょう。
税理士は、全国に約8万人もいます。
しかし、限定承認に詳しい税理士はほんの一握りです。
予期せぬ税金がかからないように、プロの税理士にご相談ください。
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まとめ
このブログが参考になることを祈念します。
なお、お困りのことがありましたら、お気軽に問い合わせてください。
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