このブログでは、相続税の節税対策を1つずつ取り上げて紹介しています。
今回は、全体像が分かるように、19個をまとめて紹介してみます。
19個の節税対策一覧
まずは、一覧をご覧ください。
① 養子縁組
② 配偶者に自宅を贈与・贈与税の配偶者控除
③ 家族に毎年110万円
④ 家族に毎年300万円
⑤ 子供や孫に2,500万円まで相続時精算課税
⑥ 子供や孫の住宅取得を支援・非課税
⑦ 子供や孫の教育資金の一括贈与・非課税
⑧ 子供や孫の結婚子育資金一括贈与・非課税
⑨ 特別障害者などの子供に贈与信託・非課税
⑩ 生命保険金の非課税を活用
⑪ 土地・建物の購入評価差額を利用
⑫ 土地の評価を利用
⑬ 銀行ローンでアパート建設
⑭ 自宅のリフォーム
⑮ 非課税財産の購入
⑯ 小規模宅地等の特例
⑰ 配偶者の相続税額の軽減
⑱ 配偶者居住権の活用
⑲ 2次相続を考慮した相続
ポイントと注意点
節税対策ごとにポイントと注意点を取り上げます。
① 養子縁組
ポイント
- 基礎控除が増加する
- 税率が下がるケースあり
- 生命保険金及び退職手当金の非課税枠が増える
注意点
- 養子は相続分を主張できる
- 実子がいる場合は1人しか増えない
- 子供の相続分が減少(家族内で合意を得る)
- 養親に意思能力があること
- 子供がいないケースは増税になることがある
② 配偶者に自宅を贈与・贈与税の配偶者控除
ポイント
- 婚姻期間20年以上
- 配偶者控除2,000万円+基礎控除110万円
- 配偶者控除適用分は相続財産に加算しない
- 住宅の購入資金でもOK
注意点
- 同一配偶者からは1回だけ
- 小規模宅地等の特例対象外、建物の贈与を優先
- 不動産取得税がかかる
- 登記費用が相続の5倍
③ 家族に毎年110万円
ポイント
- 前3年内加算あり、早期に贈与する
- 推定相続人以外への贈与を検討する
- 110万円までの贈与でも申告する
- 贈与契約書を作成し、確実に渡す
注意点
- 定期金に注意する
- 名義預金に注意する
- 相続人間のバランスに配慮する
- 余裕資金の範囲内とする
- 令和5年から暦年課税が廃止されるかも?
- 受贈者の勤労意欲に注意
④ 家族に毎年300万円
ポイント
- 前3年内加算あり、早期に贈与する
- 推定相続人以外への贈与を検討する
- 贈与契約書を作成し、確実に渡す
- 贈与税を10%払ってでも多額の節税
注意点
- 定期金に注意する
- 名義預金に注意する
- 相続人間のバランスに配慮する
- 余裕資金の範囲内とする
- 令和5年から暦年課税が廃止されるかも?
- 受贈者の勤労意欲に注意
⑤ 子供や孫に2,500万円まで相続時精算課税
ポイント
- 60歳以上から直系の20歳(18歳)以上へ
- アパートなどの収益物件で収益を移転
- 値上がり物件の贈与は割安に
- 早期に子供や孫の生活支援
注意点
- 令和4年4月1日以後は18歳以上
- 値下がり物件は割高になる
- 期限内申告・宥恕規定なし
- 余裕資金の範囲内とする
- 子供や孫のバランスに配慮
- 110万円控除に戻れない
⑥ 子供や孫の住宅取得を支援・非課税
ポイント
- 直系の20歳(18歳)以上へ
- 耐震・省エネ・バリアフリーは1,000万円
- 上記以外は500万円
- 翌年3月15日までに住宅取得し居住する
- 相続時に加算しない
- 合計所得金額2,000万円以下
注意点
- 令和3年末までの特例・延長法案国会審議中
- 令和4年4月1日以後は18歳以上
- 契約締結時期で限度額判定を廃止予定
- 期限内申告・宥恕規定なし
- 余裕資金の範囲内とする
- 子供や孫のバランスに配慮

⑦ 子供や孫の教育資金の一括贈与・非課税
ポイント
- 父母や祖父母から直系の30歳未満へ
- 1,500万円まで
- 令和5年3月31日まで
注意点
- 学校等以外は500万円が限度
- 贈与者死亡で、残額は相続税の対象
- 契約終了時の残額は贈与税の対象
⑧ 子供や孫の結婚子育資金一括贈与・非課税
ポイント
- 父母や祖父母から直系の20歳以上~50歳未満へ
- 1,000万円まで
- 結婚(挙式費用など)は300万円が限度
- 子育ては妊娠、出産、育児費用
- 令和5年3月31日まで(廃止見込)
注意点
- 令和4年4月1日以後は18歳以上50歳未満
- 贈与者死亡で、残額は相続税の対象
- 契約終了時の残額は贈与税の対象

⑨ 特別障害者などの子供に贈与信託・非課税
ポイント
- 特別障害者の親族・篤志家から銀行経由で個人へ
- 限度は、特別障害者6,000万円、障害者3,000万円
- 信託契約は障害者の死亡で終了
- (例)年4回銀行振込・最大50万円
- 相続時に加算しない
注意点
- 信託は、現金などの換金性の高い財産限定
- 当初、信託銀行に手数料(3%+税)
- 障害者死亡で残額は、障害者の相続人等へ
⑩ 生命保険金の非課税を活用
ポイント
- 一時払い終身保険がお勧め
- 納税資金の確保
- 代償分割の資金
- 受取人に確実に渡せる
注意点
- 非課税は相続人のみ3か月以内放棄で適用無
- 受取人の原資取得
- 贈与税や一時所得のケースも
⑪ 土地・建物の購入、評価差額を利用
ポイント
- 時価と乖離は、土地80%、建物60%
注意点
- 行き過ぎた節税に注意
- 余裕資金で購入
⑫ 土地の評価を利用
ポイント
- 遺産分割で2方路線加算などを減らす
注意点
- 不合理分割に注意
⑬ 銀行ローンでアパート建設
ポイント
- アパートは貸家(70%)評価
- 敷地は貸家建付地(79~88%)評価
- 銀行ローン残高は債務控除
注意点
- 少子化の進展で、入居割合を慎重に検討
- 所在地、地価、立地などの条件分析
- 節税のみ目的で多額の節税は否認リスク伴う

⑭ 自宅のリフォーム
ポイント
- 固定資産税評価額に反映なしでも工事費の70%相当を加算
⑮ 非課税財産の購入
ポイント
- 墓地、仏壇、仏具、神棚、神具の購入
注意点
- 高額なものは行き過ぎた節税で否認?
- 非課税財産のローン残高は債務控除できず
⑯ 小規模宅地等の特例
ポイント
- 居住用は330㎡まで▲80%
- 特定会社事業用は400㎡まで▲80%
- 貸付事業用は200㎡まで▲50%
- 貸付と居住用などで限度面積換算
注意点
- 相続人ごとに家なき子などの要件あり
- 建物、構築物が必要
⑰ 配偶者の相続税額の軽減
ポイント
- 配偶者が実際に取得した財産
- 法定相続分又は1億6,000万円まで無税
- 申告期限に未分割は、3年以内分割見込書を添付
- 分割後4か月以内に更正の請求
注意点
- 基礎控除を超える場合は期限内申告要件
- 仮想隠ぺいされていた財産は対象外
- 2次相続を検討する(通常、配偶者なし)
⑱ 配偶者居住権の活用
ポイント
- 配偶者の居住場所の確保(民法改正で創設)
- 敷地利用権とセット
- 配偶者が相続開始時に居住していた被相続人の建物
- 被相続人と配偶者以外の共有者がいないこと
- 原則、配偶者の終身の使用収益権
注意点
- 配偶者居住権は譲渡できない
- 第三者に賃貸はできる
- 2次相続の対象外(配偶者の死亡で消滅)
- 居住建物が滅失した場合は消滅する
⑲ 2次相続を考慮した相続
ポイント
- 配偶者の固有財産を加味して検討
注意点
- 相続人が1人少ない
- 配偶者がいない・税額軽減がない
- 小規模宅地等の特例の適用要件に注意
【併せて読みたいブログ】
目次・相続税の節税対策に関するブログを検索しやすく、注意点も説明
相続税等のプロの税理士へ
相続税や贈与税のことはその道のプロ、詳しい税理士に相談しましょう。
相続税や贈与税はかなり特殊な税金です。
加えて、本当に詳しい税理士、いわゆるプロの税理士が実は少ないのが実際のところです。
税理士は、全国に約8万人もいます。
しかし、相続税に詳しい税理士はほんの一握りです。
相続税に詳しい税理士は、例外なく贈与税にも詳しいです。
予期せぬ税金がかからないように、相続税等のプロの税理士にご相談ください。
このブログで取り上げた相続税の節税対策には、説明したように注意点があります。
したがって、プロの税理士に相談したり依頼することは重要です。
相続税のプロの税理士に関するブログもあります、参考になると嬉しいです。
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まとめ
このブログがきっかけで、節税できることを祈念いたします。
なお、お困りのことがありましたら、お気軽に問い合わせてください。
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